著者
守田 万寿夫 中村 浩 浦出 雅昭 廣沢 久史
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.26-31, 1995 (Released:2008-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
2

ホタルイカ生食後に腸閉塞様症状を呈した症例を12例経験した.摂取後1~2日後より腹痛や腹部膨満感が出現し,腹部単純写真上小腸ガス像,ニボー形成を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった.CRP,白血球数,好酸球数には一定の傾向はみられなかった.イレウス管は挿入せずに絶食,輸液のみにて2~3日で症状は軽快した.ホタルイカの内臓には3.3%の割合で腸閉塞や皮膚爬行症の原因となる旋尾線虫Type-X幼虫が寄生していることから,1993年の8症例に対して,抗旋尾線虫抗体価を間接蛍光抗体法にて測定したところ,8例中陽性5例,陰性3例であった.以上の結果から,腸閉塞様症状の原因として旋尾線虫Type-X幼虫の関与が強く疑われた.