著者
佐藤 光太郎 廣瀬 智水 古屋 興二
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.62-68, 2006 (Released:2006-07-31)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

医療用輸液ポンプでは点滴法により流量を計測する場合がある.点滴筒は液滴体積が出口径によって決定されるという仮定の下に設計され,医師や看護士は滴落下時間間隔から視覚的に輸液状況を確認できる反面,精度の面からは液滴体積は液体の物性に依存し,さらにサテライト滴をも形成するため,常に設計通りの体積の液滴が落下するとは限らない.これまでも多くの研究者らによって研究がなされてきたが,液滴形成には局所的高速現象が含まれていることから断片的な挙動観察が多く,実験による系統的な観察例は多くない. 本研究は安定した薬液の輸液システム開発をはじめ,様々な分野での応用が期待される液滴制御の基礎的研究として,種々なる条件下での液滴形成過程を高速度ビデオカメラにより観察した.主として液滴分離時に生じる諸現象を含む液滴形成機構と物性および流量との関係を調べ,さらに液滴形成に及ぼす液滴形成部出口形状の影響についても議論した.