著者
井波 真弓 岩崎 晴美 宮沢 賢治 土屋 宏之 齋藤 兆古 堀井 清之
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.8-12, 2005 (Released:2005-05-31)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

本稿の目的は『源氏物語』第二帖「帚木」から第三帖「空蝉」にかけての「空蝉物語」 に離散値系ウェーブレット変換を適用し,源氏と空蝉の出会いから終焉までの,心象的 変動,すなわち,心の揺れを考察することである. 要素として「会う方向」「会わない方向」「思慕」を示すことばを選び,段落ごとの 使用頻度を調べた.次に離散値系ウェーブレットの多重解像度解析を適用した.その結果, 源氏の場合第1パートと第2パートで「会う方向」と「思慕」に揺れが見られるが,第3 パートではともに低くなり,「会わない方向」が高くなる.「会わない方向」は第1 パートから第2パート,第3パートへ行くにしたがって徐々に高くなっていく傾向が見 られた.空蝉の場合,第1パートは「会う方向」,第2パートでは「会わない方向」が 顕著であり,自己の身意識によって感情を理性で抑えようとする.しかし第3パートに なると対象そのものへの「思慕」が感情の中心を占める. 源氏は感情の起伏が大きく,「空蝉物語」が源氏の青春の心の惑いと喪失感を痛感 させる物語であり,かつ空蝉に翻弄されていることが検証された.また,空蝉の身分意識 が源氏を翻弄し,源氏からのアプローチが思慕を募らせる根拠であったことも明らかになった.
著者
中 尚義 五十里 啓司 成澤 海舟 橋本 巨
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.71-81, 2016 (Released:2016-12-31)
参考文献数
22

トンボは飛翔のための空気力を得るために三次元的な流れを生成している.しかしながら,トンボの自由飛翔時の三次元流れは実験的には未だ明らかでない.本研究では実験的に三次元流れを明らかとするため,断層撮影を用いた可視化実験およびPIV解析を行った.断層撮影では測定の再現性が重要となることから,可視化実験にはトンボの羽ばたき運動を模擬した羽ばたきシミュレータを使用した.流れの可視化は前方および側面方向の2方向から行った.その結果,直線飛翔時のトンボは翅の中央部において後方に向かって強い流れを生成していることが確認された.また,翅の基部方向に向かって流れが引き寄せられていることが明らかとなった.これは後方に向かう強い流れによって横方向から流れが引っ張られていると考えられる.このことから,直線飛翔時のトンボは翼幅方向の余分な流れを作らず,後方への強い流れのみを生成しているといえる.
著者
鎌田 祐一 平沢 太郎 中村 祐二
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.35-41, 2009 (Released:2009-09-30)
参考文献数
7
被引用文献数
4 2

マルチピーク型光学フィルターとカラーCCDカメラを組み合わせた熱画像カメラを用い、近赤外線における2色法による温度分布の可視化を行った。本方式では従来型の2色法と比べてより低温域(>500℃)を高解像度で計測が可能である。試作した熱画像カメラは1000℃近傍によって、空間解像度10μmで3℃、300μmで0.2℃の繰り返し精度(1σレベル)を達成する事ができた。
著者
石井 慶子 大野 淑子 及川 麻衣子 大西 典子
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.21-27, 2021 (Released:2021-06-30)
参考文献数
11

新型コロナウイルスは無症状感染する特徴により爆発的に感染者数が増えている可能性が指摘されている.咳やくしゃみ,発話で発する飛沫のうち,2~3μm以下の微小粒子のもの(エアロゾル)は広範に拡散し,空中で数時間漂うと言われている.密集・密閉した環境での集団感染が多く報告されたこともあり,この原因と言われはじめたのが,エアロゾル感染である.現象を理解したうえで,適切な感染対策を行い,安心を示した上で接客を行うことが,社会の混乱を避けながら,経済停滞を防ぎ,生活の質を維持することに重要である.そこで,本研究ではマスクやフェイスシールドの有無による呼気エアロゾルの流れの可視化を行った.感染が問題となる呼気エアロゾルの粒形と,電子タバコの粒径が近いため,電子タバコの煙のレーザー散乱光をカメラで撮影した.マスクをすると,呼気エアロゾルは体の表面に滞留し,ゆっくりと体の表面に沿って上昇した.下を向いている場合,マスクをしていても,マスクの上下端から漏れ出した呼気エアロゾルが乱れながら下方に向かった.フェイスシールドには感染症予防に意味がないという話が広く認識されているが,フェイスシールドを着用すると,呼気エアロゾルが体の表面に滞留しやすくなり,暖められたエアロゾルが下に向かわず,上昇した.すなわち,介護や医療,美容関係者等が下方にいる人間に接近する場合,マスクとフェイスシールドをどちらもつけると,顧客に呼気エアロゾルを浴びせる量を効果的に低減させることができると考えられる.
著者
佐藤 光太郎 廣瀬 智水 古屋 興二
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.62-68, 2006 (Released:2006-07-31)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

医療用輸液ポンプでは点滴法により流量を計測する場合がある.点滴筒は液滴体積が出口径によって決定されるという仮定の下に設計され,医師や看護士は滴落下時間間隔から視覚的に輸液状況を確認できる反面,精度の面からは液滴体積は液体の物性に依存し,さらにサテライト滴をも形成するため,常に設計通りの体積の液滴が落下するとは限らない.これまでも多くの研究者らによって研究がなされてきたが,液滴形成には局所的高速現象が含まれていることから断片的な挙動観察が多く,実験による系統的な観察例は多くない. 本研究は安定した薬液の輸液システム開発をはじめ,様々な分野での応用が期待される液滴制御の基礎的研究として,種々なる条件下での液滴形成過程を高速度ビデオカメラにより観察した.主として液滴分離時に生じる諸現象を含む液滴形成機構と物性および流量との関係を調べ,さらに液滴形成に及ぼす液滴形成部出口形状の影響についても議論した.
著者
井波 真弓 齋藤 兆古 堀井 清之
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.25-32, 2010 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

本稿の目的は島崎藤村作『破戒』における封建的な旧社会と自己解放された新社会に生きる登場人物のそれぞれの感情の変化を検証することである. 要素として「世間」,「社会」,「世の中」の三つの語を選び,章ごとの使用頻度を新社会と旧社会とに分けて調べた.得られたデータへ離散値系ウェーブレット多重解像度解析を適用した. その結果,「世間」の頻出度合いの変化にはほぼ同様の傾向が見られ,双方ともに日本の古来から使用されている語「世間」と「世の中」に対する共通認識があることが確認された.新社会の登場人物が自己の考えを主張する場合「社会」が多くなるが,旧社会における「社会」の語は新社会に対抗したり,批判したりする時に多くなり,「世間」としての立場を主張するために「社会」を援用していることが示された.立場を主張する上で語の選択に大きな意味があることが明らかとなった.
著者
高野 保英 沖中 知雄 竹原 幸生 中野 人志 下ノ村 和弘 林 直樹 三井 鷹 江藤 剛治
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.35-40, 2019 (Released:2019-08-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1

超高速撮影のためにマルチ電荷収集ゲートイメージセンサを発明し,開発した.このイメージセンサとカメラの性能は以下の通りである.構造:裏面照射マルチ電荷収集ゲートイメージセンサ(BSI MCG image sensor),時間分解能:10 ns,画素数とフレーム数:約60万画素に対して5フレーム(約30万画素に対して10フレーム).このイメージセンサを用いたテストカメラで,他の特殊撮影技術を併用することなく,飛翔するレーザ光の連続撮影に成功した.まだいくつかの問題点を残しているが,MCG BSIイメージセンサが正しく機能することを光の飛翔というわかりやすい例で証明することができた.
著者
三輪 飛寛 鎌田 依里 松内 一雄 榊原 潤 野村 武男
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.33, 2011 (Released:2011-08-31)
参考文献数
25

本研究の目的は,PIV計測法を用いて泳者手部周りの非定常流れ場を可視化し,水泳スカーリング動作の推進メカニズムの知見を得ることである. 元競泳選手1名が本研究に参加し,回流水槽中でスカーリング動作を行った.PIV計測により,泳者左手周りにおける200枚の時系列粒子画像が瞬時に取得され,連続する2枚の粒子画像から流れ場の粒子速度ベクトルと渦度が計算された. スカーリング動作アウトスカル局面において泳者小指近傍に前縁渦が観察され,手部の移動方向が変化するアウトスカルからインスカルへの遷移局面において,その渦が手部から放出されているようであった.また,遷移局面後には手部周り循環の回転方向の変化が観られた.本研究の結果から,スカーリング動作を行っている泳者は,手部周りの循環と放出された渦による運動量変化によって推進力を生み出していることが示唆された.
著者
鬼追 一雅 波多野 雅俊 藤本 勲
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.57, 2011 (Released:2011-11-01)
参考文献数
13

近赤外線分光画像による酸化ヘモグロビン濃度分布および還元ヘモグロビン濃度分布の可視化に関して基礎検討を行った.本手法はLambert-Beer則とパターン分離法に基づき非侵襲で測定が行える.今回,掌の分光画像からパターン分離を行い,酸化ヘモグロビン濃度分布画像と還元ヘモグロビン濃度分布画像の時間変化取得に成功したので報告する.
著者
石綿 良三 平井 厚朗 飯田 匠
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.1-7, 2014 (Released:2014-04-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1

球技スポーツにおいてボールの軌道変化はその競技の多様性を引き出すものとして重要な要素の一つである.多くの場合,その変化はボールの回転によって生み出されている.そこで本研究では,空中を飛行するボールを高速度カメラで撮影し,連続画像からその3次元的な回転を検出するシステムを開発した.Hough変換によってボールの位置と大きさを検出し,ボールのパターン情報を仮想3次元空間内で回転させて相関をみる方法を用い,野球とサッカーでの適用例を示した.
著者
神田 健介 八木 恭平 楊 明
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.78-83, 2005 (Released:2005-11-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

近年注目されているマイクロ生化学分析チップにおいてはイムノアッセイ等の壁面を利用した物質検出が行われている.そのためには対象の分子が壁面近傍に存在することが必要である.本研究では壁面から数100nmを可視化できるエバネッセント顕微鏡システムを構築し,直接観察により壁面近傍の粒子濃度分布およびブラウン運動解析を行うことを目的とした.実験においては壁面特性の影響を評価するため親水性,疎水性に表面処理した壁面上において,生体分子の代わりに微小ポリスチレン粒子を用いた.ブラウン運動解析では壁面近傍で粒子の平均移動量が減少することを明らかにし,濃度分布測定では壁面近傍での濃度が低く,壁面から離れるに従い高くなること,粒子分布が親水性,疎水性では異なることを明らかにした.壁面近傍の粒子分布には粒子と壁面との流体的相互作用や種々の物理・化学的相互作用が大きな影響を及ぼすと考察した.
著者
門田 章宏 鈴木 幸一
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-8, 2008 (Released:2008-01-31)
参考文献数
18

河川の境界に存在する水制構造物は様々な役割を持ち,ヨーロッパ諸国では主に貨物船等の航行に必要な航路の確保に水制が使われている.その他,日本の河川では護岸や水生生物にとっての環境改善の目的でも用いられている.また,日本の主な気象・河川特性として挙げられるのは,降雨量の季節的変動が大きく,流路が短く急峻であることである.近年観察される様々な自然現象は,温暖化による影響と併せて,突発的な豪雨・洪水が多く,水制等の河川構造物周辺の流れは瞬間的に大きなエネルギーを持つ流れが支配的となり,従来研究が行われている洗掘等の物質輸送現象の解明の基本情報となった平均流的な流れとは大きく異なる.以上の様な背景により,本研究では河川構造物周辺の流れの中でも,組織的でかつ瞬間的な流れの局所的な場に及ぼす影響がむしろ重要であるという観点から,河川水制周辺の二次元浅水流の瞬間的に発生する組織的流れの構造を浅水流可視化実験により解明した.また,これらの瞬間流速データを正規直交分解法(POD法)や条件付き時空間相関解析(CST法)を適用することで,水制周辺に発生する特徴的な組織渦構造を抽出し移流過程を明らかにした.
著者
望月 博昭 小牧 博文 森田 誠 草道 いずみ
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.115-121, 2003 (Released:2003-12-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

これまでの研究において明らかにされていない,トンボが実際に野外を自由に飛行する場合の羽ばたきと,風胴中で羽ばたく二つの場合の羽ばたきをハイスピ-ド・ビデオカメラで観察した.その結果,上下に大きく羽ばたきながら自由飛行する場合と,風胴内の羽ばたきの周波数はほぼ同じ値になることを確認した.またスモ-クワイヤ法を用いて風胴中で羽ばたくことによって生じる流れを観察した結果,羽の打ち上げや打ち下しに伴って複数の渦が現れ,そのサイズが大きくなりながら互いに合体して流れていく様子を明らかにした.またトンボが水平飛行,上昇飛行及び下降飛行する場合に生じると思われる流れ,すなわち風胴中の羽ばたきにおいて後流が水平方向,下方及び上方に流れる三つの場合の後流の状態を35mmカメラで観察した.その結果,三つのそれぞれの場合に応じて上流からトンボに向って流入する流れの流線は異なる曲率を描くことを明らかにした.
著者
Noriyasu OMATA Susumu SHIRAYAMA
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
Transactions of the Visualization Society of Japan (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.48-54, 2017 (Released:2017-10-31)
参考文献数
19

流体実験や計算によって得られる定量的なデータが,「見た目」といった定性的な方法によって分析される場合は少なくない.これは定量性や客観性の面で問題である.一方で,近年,定量性や客観性を欠くとされるタフト法のような実験法からも定量的な分析が行えることが示唆されている.本稿では,タフト法から取得された,流れの3次元方向ベクトルの時空間データに対する統計的空間分割を介したパターン抽出法を提案する.はじめに,各タフトの位置での時系列データを確率モデルによって表現し,確率分布間の距離を導入することでモデル同士の類似度を算出する.次に,この類似度に対してスペクトラルクラスタリングを適用することでパターン抽出を行う.実際のデータに適用した結果,空間パターンの抽出に成功した.これにより,提案手法に一定の妥当性があることが示された.
著者
野村 陵 川本 英樹 吉田 秀則 米田 武史 青木 茂
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.72-77, 2005 (Released:2005-10-31)
参考文献数
10

高解像度圧縮性CFD解析コードを用いて超音速風洞流路流れの可視化を行った.CFD解析結果の可視化は,流れ方向の気体の密度勾配分布に基づいた仮想的なシュリーレン光学画像処理手法を用いて行った.ここでは,以前に考案した超音速風洞流路流れの特性を利用した最適化手法によるノズル形状の最適化結果を例として,最適化前後のCFD解析結果を可視化し,風洞測定部の気流の変化を確認した.可視化によって,風洞流路内の一様流れ中に発生する微小な圧力波を良く捉えることができ,最適化による風洞測定部の圧力波のわずかな変化を確認することができた.このような可視化手法が微小な圧力波を評価する上で有効な手法であることが判明した.
著者
山本 欧 國分 雅敏
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.46-46, 2010 (Released:2010-06-30)

ボリュームディスプレイは,立体を3次元空間に直接描画するディスプレイである.著者らは,市販部品から容易に構成可能なボリュームディスプレイを開発した,本ディスプレイは,往復運動する蛍光表示管(VFD)上に立体の断面を順に表示し,残像効果により立体表示を行う.本論文では,このボリュームディスプレイのアプリケーションとして,極小曲面の等長変形(IDMS)の可視化ツールを提案する.IDMSは数学的に興味深い対象であるが,その変形の過程は2Dディスプレイ上の表示画像では理解が難しい.我々のアプリケーションにより,ユーザはIDMSの過程を,体積を持つ3Dアニメーション画像として観察することができる.
著者
中澤 里奈 伊藤 貴之 瀬々 潤 寺田 愛花
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.25-32, 2013 (Released:2013-11-30)
参考文献数
15

遺伝子機能や他の遺伝子との関係性の解析のための情報共有手段として,各遺伝子をノード,遺伝子間相互作用をエッジとした遺伝子ネットワークが利用されている.しかし,遺伝子ネットワークのノードやエッジの数は非常に膨大であり,既存の可視化手法では複雑なネットワーク構造による重なりが視認性を妨げることがある.そこで本論文では,遺伝子オントロジーで定義された遺伝子機能の属性をノードに付与した遺伝子ネットワークを可視化する一手法を提案する.各ノードに遺伝子機能情報を付与し,重なりを回避しつつ線情報を要約することにより,機能情報と関係性に関する視認性を向上させている.