著者
延藤 洋子 大崎 勝一郎 鄭 鴻祥 上野 満雄
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.246-251, 1997-08-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

突発性難聴の報告は多いが, 今回著者らは日本 (近畿, 中四国地区) と中国 (北京地区) の187例を対象に, 両地区における背景因子の差異ならびに初診時に得られたデータのうち, 予後への関連因子についてχ2検定を用いて統計学的検討を加えた。 日本110例と中国77例の地区別検討では, 性別, 年齢分布などの患者背景に, 両群間に有意差は認められず, 相違が認められたのは治療法で, 治療効果に関しては有意差は認められなかった。 治療予後に関しては改善率, 有効率, 治癒率に分類類して検討した。 その結果, 良好な予後が期待できる諸因子はめまい無し, 低音障害型, 50歳未満, 早期の治療開始, 初診時聴力レベル60dB未満という条件を満たすものであったが, 特に治療開始日数に関して, 3日以内の治療開始であれば治癒率42%, 有効率62%が, 5日以内であれば改善率85%が期待できることが示唆された。