著者
蕪山 典子 立野 玲子 後藤 敏行 影井 清一郎 富樫 卓志 菅野 純夫 恒川 隆洋 野村 信夫
出版者
Chem-Bio Informatics Society
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.27-37, 2004 (Released:2004-07-15)
参考文献数
9

ヒト遺伝子の機能解明の手かがりとして、その産物であるタンパク質が細胞のどの小器官に局在するかに注目している。産生タンパク質をEYFPとの融合タンパク質として発現させると、タンパク質局在は蛍光顕微鏡下で各小器官に対応した蛍光像として観察される。約3万2千個と判明したヒト遺伝子の完全長cDNAクローンに対して網羅的に客観的な尺度によって局在する小器官を高速に判定するシステムを開発している。顕微鏡像を画像として記録し、パターン認識手法によって画像を小器官のカテゴリに分類するシステムである。ある遺伝子を導入しても細胞によって、現れる局在の像は多様である。本論文では、この多様性に適合する画像の分類を提案する。各小器官を標識する局在ベクターを用いた試行実験で97.9%の認識率が得られ、提案手法の有効性が検証された。今後は対象を完全長cDNAクローンによる局在へと拡張する予定である。