著者
Alex M. Clark Antony J. Williams Sean Ekins
出版者
情報計算化学生物学会
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-18, 2013-01-09 (Released:2013-01-09)
参考文献数
65
被引用文献数
6 7

We are perhaps at a turning point for making cheminformatics accessible to scientists who are not computational chemists. The proliferation of mobile devices has seen the development of software or ‘apps' that can be used for sophisticated chemistry workflows. These apps can offer capabilities to the practicing chemist that are approaching those of conventional desktop-based software, whereby each app focuses on a relatively small range of tasks. Mobile apps that can pull in and integrate public content from many sources relating to molecules and data are also being developed. Apps for drug discovery are already evolving rapidly and are able to communicate with each other to create composite workflows of increasing complexity, enabling informatics aspects of drug discovery (i. e. accessing data, modeling and visualization) to be done anywhere by potentially anyone. We will describe how these cheminformatics apps can be used productively and some of the future opportunities that we envision.
著者
Toshihisa Ishikawa Kohtaro Yuta Yukio Tada Akihiko Konagaya
出版者
Chem-Bio Informatics Society
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.110-111, 2017-12-31 (Released:2017-12-04)
参考文献数
3

藤田稔夫氏(ふじた・としお=京都大名誉教授、医農薬化学)が今年8月22日午前11時47分、病気のため京都市内の病院で死去されました。享年88歳。昨年10月には京都大学で開催された第44回構造活性相関シンポジウムで米寿をお祝いしたところでした。藤田先生はCorwin Hansch教授(米国)と共に定量的構造活性相関の方法を確立され、医薬農薬などの多方面で分子設計に多大な影響を与えてきました。さらに、藤田先生はEMIL (Example-Mediated Innovation for Lead Evolution)の方法を開発して、人工頭脳(AI)に基づく創薬分子デザインの可能性を追求されてこられました。藤田先生の先進的な考えとアプローチは私どもの模範とするところです。この追悼文をもって藤田稔夫先生の偉業をかみしめつつ、ご冥福をお祈り申し上げます。
著者
齊藤 奈英 多田 幸雄 岡部 隆義 長野 哲雄
出版者
情報計算化学生物学会
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.34-37, 2017-04-08 (Released:2017-04-08)
参考文献数
11

偽性低アルドステロンII型は、常染色体優性遺伝疾患であり非常に稀な家族性高血圧症である。これは、WNK1 [with no K (lysine) protein kinase-1]あるいはWNK4の機能亢進に起因するとされている。これらのWNKは、多くのキナーゼに存在するβ3 strandのリジン残基がシステインに置き換わっており、また、ATP結合サイトのすぐ後ろにバックポケットがあるという特徴的な構造をしている。したがって、この特徴的なバックポケット及び活性に重要な役割を果たしていることも知られているグリシンリッチループにあるリジン残基(WNK1のLys233)と相互作用する化合物は、WNK1及びWNK4の選択的阻害剤であることが予測される。本研究では、フラグメントライブラリー化合物及び競合結合アッセイを用いて、ヒンジ領域ではなく、バックポケットと選択的に相互作用する化合物を選択した。得られた化合物は、1,3-イソキノリンジオールと4-メチル1,3-イソキノリンジオールであった。これらの化合物にプロトンドナーとなる置換基を導入すると、Leu369 (WNK1) に水素結合し、WNK1及びWNK4に対する選択的な阻害剤を得るためのシード化合物となると予想される。
著者
齊藤 奈英 多田 幸雄 岡部 隆義 長野 哲雄
出版者
情報計算化学生物学会
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.30-33, 2017-03-30 (Released:2017-03-30)
参考文献数
9

偽性低アルドステロンII型は、WNK1 [with no K (lysine) protein kinase-1]あるいはWNK4に起因する非常に稀な常染色体優性遺伝疾患として知られている。これらのセリン-スレオニンキナーゼは、ATP結合サイトのすぐ後ろにバックポケットがあるという特徴的な構造をしている。さらに、グリシンリッチループにあるリジン残基(WNK1のLys233)は、活性に重要な役割を果たしていることも知られている。本研究において、我々は、WNK特異的阻害剤を創成するためのリード候補化合物を探索するため、WNK1のバックポケットと約9000化合物のフラグメントライブラリーとのドッキングシミュレーションを実施した。我々は、結合スコアに基づいてバックポケットと相互作用してヒンジ領域とは相互作用しないリード構造として、β-テトラロン(化合物5)を選択した。次に、バックポケットとβ-テトラロンとの予測できる4つのドッキングパターンに基づいて、Lys233と水素結合を形成することが予測される4つの誘導体化合物A-Dをデザインした。これらの誘導体化合物は、ドッキングシミュレーションにおいてLys233と選択的に相互作用することが示され、選択的なWNK阻害剤を開発するための潜在的リード化合物であると考えられる。
著者
多田 幸雄 数野 秀樹 佐藤 勉 鈴木 則彦 江村 智弘 矢野 伸吾
出版者
Chem-Bio Informatics Society
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.19-29, 2017-03-24 (Released:2017-03-24)
参考文献数
33

トリフルオロチミジン(TFT)は抗腫瘍活性を有するが、チミジンホスホリラーゼ(TP)により不活性なチミンに容易に代謝されるので、TFT単独では臨床で満足な抗腫瘍活性を示すことができない。ヒトのTP (HTP) はヒトのピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼの主な酵素である。従って、TFTの抗腫瘍活性を維持するにはHTP阻害薬を開発する必要があった。ここでは、SBDDとclassical QSARによるHTP阻害薬のドラッグデザインのプロセスを示す。チミンをシード化合物、5-クロロウラシル(3)をリード化合物として選択した。リード化合物(3)のC6位にイミノ基の導入は阻害活性を向上した。結果として5-chloro-6-[1-(2-iminopyrrolidinyl) methyl] uracil hydrochloride (TPI)を臨床試験候補化合物とした。そして、TAS-102(配合モル比 TFT:TPI = 1: 0.5)はトリフルリジン/チピラシル(ロンサーフ)として日本、欧州、米国で転移性直腸がんの治療薬として認可された。
著者
古明地 勇人
出版者
Chem-Bio Informatics Society
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.12-23, 2007
被引用文献数
4

ブルームーンアンサンブル法 (Carter et al., 1989, <I>Chem. Phys. Lett.</I> <B>156</B>, 472; Sprik & Ciccotti, 1998, <I>J. Chem. Phys.</I> <B>109</B>, 7737)は、指定された反応座標に沿って、自由エネルギー変化を計算する方法の一種である。ここでは、「粒子間距離」および「粒子間距離の差」を反応座標に取る場合についてブルームーン法のアルゴリズムを導出した。アルゴリズムの実装は、任意のプログラムに実装可能なように、フォートラン様の擬似コードを用いて説明した。
著者
多田 幸雄 山脇 一郎 上田 修一 松本 宏 松浦 直資 安本 三治 江田 昭英 堀 幹夫
出版者
Chem-Bio Informatics Society
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.163-174, 2003 (Released:2003-12-31)
参考文献数
10

I 型アレルギー疾患治療薬の開発を目的として dimethyl-2-phenoxyethylsulfoniun p-toluenesulfonate 誘導体(1)におけるリード最適化を行った。3-ethoxy, 3-phenoxy, 2,3-diethoxypropoxy 誘導体が、経口投与で誘導ラット同種受身皮膚アナフィラキシー(PCA)の抑制作用を示した。さらに急性毒性とアセチルコリン様作用を考慮し、2-[4-(3-ethoxy- 2-hydroxypropoxy)phenoxy]ethylsulfoniun p-toluenesulfonate (11)を前臨床試験候補化合物として選択した。
著者
佐藤 敦子 幸 瞳 渡邉 千鶴 齋藤 純一 小長谷 明彦 本間 光貴
出版者
情報計算化学生物学会
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.38-52, 2017-05-31 (Released:2017-05-31)
参考文献数
36

CYP群により薬物が代謝されることによる薬効の減弱、薬物間相互作用は創薬研究における重要な課題であり、中でもCYP3A4は医薬品代謝への寄与が最も大きい。代謝不安定性の改善に対しては、一般的に脂溶性の低減や代謝部位の変換などが行われるが、求める薬効との両立が難しく、また代謝部位や結合様式を実験的に決定するには大きな労力が必要となる。そのため創薬現場では、薬効を維持しながら代謝を回避し得る効率的な薬物設計と、予測による低コスト化が求められている。CYP3A4は様々な化学構造をもつ化合物を代謝することから、結合ポケットは非常に大きく、その形状も柔軟に変化し、化合物との結合様式予測は非常に難しい。我々はカルバマゼピン (CBZ) を題材とした先行研究において、ドッキング計算から得た複数の結合ポーズを初期構造とした分子動力学 (MD) 計算を組み合わせた代謝部位予測方法を検討した。本手法では、化合物とCYP3A4との結合自由エネルギー値と、化合物の各炭素原子のヘム鉄への近づきやすさから、代謝部位を予測している。さらに、この手法がより柔軟な構造を有する化合物にも適用可能か確かめることを目的とし、トルテロジンを題材とした代謝部位予測を試みた。この研究では、化合物ドッキングポーズからのMD初期構造選択の際にProtein Ligand Interaction Fingerprint (PLIF) とRMSDの2種類のクラスタリング手法を用い、効率的な初期構造選択方法と予測結合様式からの代謝安定化デザインについて議論する。
著者
石原 司 森 健一 宗像 亮介 森友 紋子
出版者
情報計算化学生物学会
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-18, 2017-03-04 (Released:2017-03-04)
参考文献数
40

本報告では、構造活性相関 (SAR) データベースからのSAR転移、ならびに、引き続く構造推薦に基づく新規医薬候補化合物設計手法について述べる。本法は、1)SAR探索中の化合物群ならびに参照SARデータベースからのMatched Molecular Series (MMS)解析、2)化合物骨格及びSAR類似性に基づく類縁MMSの解析、そして、3)新規化合物の構造発生と協調フィルタリングに基づく活性推算の三段階にて構成される。第二段階では、ネットワーク解析に基づき、直接的あるいは潜在的な類縁MMSの検出が可能となる。本法を血液凝固活性化第十因子阻害剤探索に遡及適用した結果、常法的な定量的構造活性相関手法と比較し、高い精度で化合物活性を推算することが示された。更に、本法により、タンパク-リガンド複合体の構造情報を用いず、SAR情報のみを基に、指定するリガンドの部分構造に代替して同一のタンパクポケット領域を占有する部分構造が推薦されることが示された。
著者
崎山 則征 柯 閏聡 澤田 隆介 園山 正史 美宅 成樹
出版者
情報計算化学生物学会(CBI学会)
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.69-78, 2007 (Released:2008-03-04)
参考文献数
16

ヒトの全タンパク質において電荷の自己相関関数の計算から、電荷の28残基周期性を持つタンパク質(PCP28)が最近発見された(Ke et al., Jpn. J. Appl. Phys. 2007)。PCP28の主な局在位置は核であった。核PCP28の生物学的意味を考察するために、我々が開発した予測システム(Sakiyama et al., CBIJ., 2007)を用いて、10種類の脊椎動物ゲノムと7種類の非脊椎真核生物から核PCP28を予測した。Swiss-Protデータベースによるとヒトの核PCP28の約90%は転写制御因子と考えられた。次に、脊椎動物ゲノムと非脊椎真核生物ゲノムに含まれる核PCP28の数を比較した。その結果、核PCP28は脊椎動物ゲノムにおいて顕著な増加を示すことが明らかになった。また、核以外のPCP28の割合は全ての真核生物でほぼ一定であった。これは、核PCP28が脊椎動物に特有のタンパク質である可能性を強く示唆している。
著者
渡邉 博文 田中 成典 沖本 憲明 長谷川 亜樹 泰地 真弘人 谷田 義明 三井 崇志 勝山 マリコ 藤谷 秀章
出版者
情報計算化学生物学会(CBI学会)
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.32-45, 2010 (Released:2010-04-20)
参考文献数
46
被引用文献数
5 6

先端的な4つの計算法、FMO法、QM/MM法、MM-PB/SA法、MP-CAFEE法を用いてFKBPと10種類のリガンドの結合能を評価し、実験値との相関を比較した。結果として、4つの方法の内、どの方法を用いても実験値と比較的よい相関が得られることを確認した。またこの結果をもとに、どの効果を取り入れることが実験値との高い相関を得るのに重要であるかを議論した。さらに、これらの方法における溶媒効果の取り入れやエントロピーの寄与の重要性について詳しく議論した。計算時間についても検討を行い、最後にタンパク質リガンド結合能計算法の発展について今後の展望を述べた。