著者
影山 康徳
出版者
浜松大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

関節リウマチ(RA)の病像の首座は関節滑膜にあることから、RAの治療において滑膜切除術が行われている。今回、人体への侵襲が比較的少ない治療法である光線力学療法(フォトダイナミックセラピー)(PDT)をRA患者の滑膜切除へ応用することを目指して基礎研究を行った。PDTを行う際の光感受性物質としてATX-S10(Na)、フォトフリン、5-aminolevurinic acid(5-ALA)を使用し、RA培養滑膜細胞にPDTを行ったところ、すべての光感受性物質においてPDT効果を認めた。RAの動物モデルであるマウスII型コラーゲン関節炎モデルにおいて、フォトフリン、5-ALAを投与した後、2~3時間で関節に405 nmのレーザー光を照射し、蛍光を測定した結果、関節組織に蛍光は見られたものの、関節炎を発症した部位と発症していない部位における蛍光強度に明らかな差が見られなかった。従って前述の光感受性物質の使用における動物実験では、PDTを滑膜切除に応用するにはまだ解決すべき問題点があると考えられた。