- 著者
 
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             山岸 稔
             
             三原 武彦
             
             河西 紀昭
             
             大山 宜秀
             
             小島 邦彦
             
             後呂 みゑ
             
             渡辺 登
             
             小口 弘毅
             
             阿部 由紀子
             
             朝倉 昭雄
             
             塙 勇至
             
             薄井 晶子
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 北里大学
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 北里医学 (ISSN:03855449)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.11, no.4, pp.p371-380, 1981-08 
 
          
          
          
        
        
        
        adenosine triphosphate (ATP)の諸作用のうち,これが赤血球膜の電解質調節機構(ポンプ機能)のエネルギー源となることは従来より知られている一方,最近はプリン代謝系酵素に対する作用としてadenylate deaminase (AMPDA)を刺激し5'-nucleotidase (5 Nase)を阻害することが報告された。そこで血清電解質異常の例として高カリウム(K)血症を伴う腎尿細管性アシドーシス(renal tubular acidosis, RTA)遠位K排泄障害型,また赤血球プリン代謝酵素異常の例として赤血球adenosine deaminase (ADA)高値を伴う遺伝性球状赤血球症(hereditary spherocytosis, HS)を選び,各症例の赤血球内外のK値, Na値,およびADA値, nucleoside phosphorylase (NP)値などを中心に測定して検討を加えた。RTA症例では,高K血症のときは赤血球内K値も上昇し,またその値は血清K値とほぼ平行的に変動することがKC1負荷テストで示された。しかしその赤血球膜のポンプ機能は, HSクリーゼ症例のようには増強されていないことがADA, NP測定値より示された。さらにATPのプリン代謝系酵素に対する作用として,これがADAを刺激し, NPを阻害することが推測された。