著者
飯田 康夫 後藤 一男 古川 正道 柴田 正三
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.401-406, 1983-07-05 (Released:2009-06-19)
参考文献数
16
被引用文献数
10 8

吸光光度法により多成分同時定量を行う場合のデータ処理において,Lambert-Beerの法則を行列の形で表す方法(AKC法)と,逆に,濃度を吸光度の関数として表す方法(CPA法)を定量精度などの面から比較し,更に検量(キャリブレーション)法についても検討した.その結果,定量精度の点ではCPA法が優れていると考えられるが,AKC法においてはスペクトルとしての観察ができることなどの利点があり,両者を組み合わせて用いることがよいと結論される.又,キャリブレーションにおいては,各成分の混合溶液を用いること,あるいは解析式に切片項を導入することにより,定量精度の向上が認められた.更に,これらの方法を用いて,8-キノリノール(オキシン)によるアルミニウム,鉄,及びチタンの3成分同時定量を行い,ほぼ満足のゆく結果を得ることができた.