- 著者
-
後藤 喜広
- 出版者
- 一般社団法人 日本看護研究学会
- 雑誌
- 日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.2, pp.2_245-2_259, 2022-07-20 (Released:2022-07-20)
- 参考文献数
- 44
目的:総合病院に勤務する男性看護師が経験するセクシュアル・ハラスメント(以下SHと略す)の内容の類型,およびSHに対する対処行動について類型,分析し,その特徴を明らかにする。方法:A団体に所属する総合病院で働く男性看護師9名を対象に,半構造化面接で得られたデータを質的に分析した。結果:男性看護師が経験するSHの内容は【看護業務が発生に起因する】【男性性が意識されて発動する】【身体が軽々に扱われる】【経過のなかで加害者が複数化する】の4つのカテゴリー,SHに対する対処行動は,【個人のみで行う対処行動】【他者が介在する対処行動】の2つのカテゴリーに分類された。結論:看護師の業務の特殊性および権力構造を背景としたSHが発生していたことから,看護の職場環境においては,性別および被害者,加害者という一義的な立場ではなく,双方的,多面的な立場の理解が得られるような倫理教育の必要性が示唆された。