著者
後藤 宏行
出版者
日仏経営学会
雑誌
日仏経営学会誌 (ISSN:09151206)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.64-78, 2021 (Released:2021-09-20)

原価を計算すること、いくつかの決算データの評価基準を決定すること、損益を解明すること、費用・収益の予測を立てること、予測データと確認済データの差異を解釈すること。これらが企業の管理手段として考案された管理会計の目的である。 本書の目的は、図式・図表などを用いて管理会計(企業の管理手段)についての明瞭で構造化された総合的ビジョンを提供することであり、管理会計の仕組や企業にとっての意思決定支援手段としての有用性を理解するのに必要な知識体系(知識)が、全部原価計算、操業基準原価計算、その他の諸項目に割当てられるように構成された総括という形で提示されている。模範解答とともに提示された多数の設例、練習問題、適用例によって、更にこの分野についての実地経験(技術的知識・情報)を得ることが可能となる。 著者によれば、本書第16版(2015-16年)は法・経済学部の全学生、会計・管理・監査(CCA)の学士号・修士課程の学生、第三種上級技術者免状(BTS)を持つ学生、経営専門学校の学生を対象とするテキストである。
著者
後藤 宏行
出版者
日仏経営学会
雑誌
日仏経営学会誌 (ISSN:09151206)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.26-44, 2022-07-30 (Released:2022-09-01)

企業経営上の新たな要求を満たすため、活動基準原価計算すなわちABC(Activity Based Costing)法と呼ばれる新たな全部原価計算が提唱されている。この方式は、機能別原価分類よりもむしろ企業のさまざまな工程の横断面分析(価値連鎖)に立脚している。操業度と関連した費用態様の分析では、特定の経営構造において、企業の一部の費用は製造量または操業度に応じて増減するが、他の費用は操業度と無関係であることが認められるに至っている。操業度と費用の増減との関連を明らかにするため、費用を変動費と固定費に分類し、その増減を特徴づけて予測をするのに用いられる数学モデルを導出することが有用である。費用の可変性の分析では、操業度に応じて総原価または単位原価が増減することが証明されている。このような状況は全部原価計算の重大な欠点となる。合理的配賦法の原則は、固定費の全額が明示すべき正常操業度に対応するという事実に立脚している。原価に算入される固定費は正常操業度との関連で計算される。