- 著者
-
徐 賢珍
- 出版者
- 日本管理会計学会
- 雑誌
- 管理会計学 : 日本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.87-102, 2000-03-31
近年韓国でも多品種化・少量化・多頻度化物流の増大,情報技術の急速な発達による物流情報化の進展,金融危機によるIMF救済金融など物流や国内外経済の環境が急変する中で物流費は急増し,企業経営を圧迫する主な要因の一つになっている.90年代に入って物流費は持続的に増加し,1997年度の売上高対物流費率は12.9%に達している.これから物流費低減の必要性ないし物流費管理の重要性は一層高くなり,そのため物流費の算定だけではなく物流費の活用に対する管理システム構築が不可欠である.本研究では,物流費低減のため必要とされる物流費管理システム構築に関する研究の一環として韓国企業における物流費管理の実態調査結果を分析することである.そのため,文献による物流費管理に関する先行研究,主要業種を対象に実態調査による物流費管理技法の実態と新しい原価管理及び経営管理技法の適用について調査を行った.研究結果.韓国企業の大部分は物流費管理システム構築の必要性を認識しており,そのため原価計算と予算管理を相対的に多く実施している.他方,物流費低減の効果を把握するための採算分析,さらに新しい原価管理及び経営管理技法の活用度が低い.しかし,物流費情報の活用度は以前より高くなっている.次に,新しい原価管理及び経営管理技法の導入は積極的に行われていない.新原価管理技法として活動基準原価計算/管理と品質原価計算,新経営管理技法としてリエンジニアリング,リストラ,ベンチマーキングなどは部分的にしか導入されておらず,またそれらの新技法の有用性を認知しているのは一部の企業に過ぎない.一方,代表的な在庫管理技法の一つとして従来から知られているJITの活用度及び有用性は他の新管理技法より高い.