著者
得田 雅章
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2006-02

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2164号 ; 学位の種類:博士(経済学) ; 授与年月日:2006/2/14 ; 早大学位記番号:新4168
著者
得田 雅章
出版者
Center for Risk Research (CRR), Shiga University
雑誌
CRR Discussion Paper, Series J
巻号頁・発行日
no.No. J-59, pp.1-17, 2016-09 (Released:2016-09-06)

2013 年より本格始動したアベノミクス(Abenomics)ももう3 年が経過した。アベノミクスは3 本の矢として「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」を標榜しているが、これは経済学的には狭義のポリシーミックス(金融・財政政策)の亜種に過ぎない。なかんずく日銀の金融政策に世間の耳目が集まっているが、これは非伝統的金融緩和の一種であるQQE(量的・質的金融緩和)が実施されたことが大きい。QQE は果たして実体経済に影響を与えたのだろうか。黒田東彦日銀総裁は、戦力の逐次投入はしないと豪語していたにもかかわらず、何発もの「バズーカ」を放つことになり、2016 年に入ってからはマイナス金利という新兵器まで併せて投入してきた。このようにいわば金融政策の実験場と化した日本経済への金融政策効果について、時系列分析を試みる。「試み」としたのは、金融市場における政策反応はさておき、波及までのタイムラグを加えた実体経済への影響となると、時系列分析によって判断を下すのは時期尚早といえなくもないからだ。一方で、アベノミクスの成果に疑問が生じている現況において、かつてないほど金融政策に関心が集まる中、暫定的にでも何らかの知見を示すことには意味があるだろう。過去10 年ほどの金融政策を取り巻く環境はまさに激変であり、対応する非伝統的金融政策も今ではすっかり普遍的になりつつある。本稿ではマイナス金利を含むQQE と実体経済への影響について、標準的な構造VAR モデルを主とする時系列分析手法を用いて評価する。結果、資産価格上昇、円安、長期金利の一層の低下を通じインフレ率に一定の上昇効果を確認した。一方で、実体経済に関して、失業率の低下が確認できたものの、鉱工業生産指数や実質GDP の明確な上昇は確認できなかった。 追加分析からは、政策パッケージとしての株式資産購入プログラムは効果がないあるいはむしろ逆効果となることが示唆された。