著者
徳田 真帆
出版者
くにたち人類学会
雑誌
くにたち人類学研究 (ISSN:18809375)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-46, 2010

本稿の研究対象はジャニーズファンである。ジャニーズファンとは、ジャニーズ事務所に所属するアイドルのファンのことであり、その熱狂的な応援行動に特徴付けられる。しかし、彼女たちは、単に応援行動に「没入」しているわけではない。彼女たちは、アイドルの虚構性を十分に認識しながらも、同時に彼らに対し自分と同一化してしまう程の強い親近感を抱いているのである。このような「アイロニカルな没入」とでもいうべき状況は、どのようにして可能になるのか。本論文では、ジャニーズファンたちが実践する「担当制」の検討を通し、トーテミスム論を手がかりに、その仕組みを明らかにすることを目指したい。