著者
徳留 嘉寛
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.135-139, 2020 (Released:2020-03-04)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

薬学や健康科学領域で,化合物の経皮吸収は大変重要な技術領域である。一般に,皮膚は外部からのバリアとしてはたらくことが知られている。一般的に経皮吸収に有利な化合物は,低分子(分子量500以下),脂溶性が高い(オクタノール水分配係数が1から2)であることとされる。したがって水溶性高分子化合物の皮膚浸透性は極めて悪い。本稿では,一般的に経皮吸収に不向きとされる水溶性高分子としてヒアルロン酸をモデルとして最近の著者らの研究成果を紹介する。具体的には,ポリイオンコンプレックス法でヒアルロン酸ナノ粒子を作成し,それを皮膚に適用することでHA を受動拡散で皮膚中に送り込むことができた。これらの技術が将来,健康科学に貢献できることを望む。