著者
徳重 克年
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.8, pp.1670-1676, 2021-08-10 (Released:2022-08-10)
参考文献数
17

非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)は,本邦に約2千万人以上の患者がおり,生命予後に関わる高度線維化群は今後さらに増加することも危惧されている.この2千万人以上のなかから,肝線維化・肝硬変NAFLDの効率的な拾い上げ,また近年非ウイルス性肝疾患を基盤とする肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)が増加しており,そのスクリーニングの必要性も唱えられている.今回,診療ガイドラインの改訂に伴い,1)肝線維化の重要性,2)線維化群の効率的な拾い上げ,フォローアップ方法,3)肝発癌に関するスクリーニング方法,4)新たな治療方針を中心にNAFLDの最新の情報を概略した.今後,NAFLDの肝線維化の重要性が広く認識され,線維化・HCCのスクリーニングが効率的に行われ,最終的に有効な治療につながることを望む.