- 著者
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石川 紗希
中村 教人
高岡 早紀
山本 裕子
植松 明美
佐久間 貴裕
忍田 純哉
- 出版者
- 一般社団法人 日本集中治療医学会
- 雑誌
- 日本集中治療医学会雑誌
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.3, pp.323-326, 2017
症例は77歳,女性。呼吸困難を主訴に救急外来に搬送された。来院時,心拍数111 /min,血圧70/52 mmHg,経皮的動脈血酸素飽和度91%(room air)であった。心電図で右側胸部誘導のST低下を認め,経胸壁心エコーでは右室は著明に拡大し,造影CTで両側肺動脈に広範囲の血栓を認めたため,急性広範囲型肺血栓塞栓症と診断された。抗凝固療法に並行し,肺動脈血栓摘除術の方針とした。急激な循環虚脱に備え,経皮的心肺補助装置を準備の上,肺動脈血栓摘出術を施行した。術後の呼吸循環動態は安定しており,術翌日に人工呼吸器から離脱し,カテコラミン投与を終了した。術後4日目にはICUを退室した。急性広範囲型肺血栓塞栓症では,早期診断と適切な早期治療が大きく死亡率を改善させる。救命するには呼吸循環補助を含め,各部門と連携した集学的治療が必要であり,常に外科的治療を念頭に置き対応する必要がある。