著者
志野 真実子 濱田 崇宏 重松 由夫 平瀬 寒月 番場 伸一
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.233-239, 2018-11-20 (Released:2018-11-20)
参考文献数
29
被引用文献数
34

新規水稲用除草剤シクロピリモレートの作用機構を解析した.シロイヌナズナをシクロピリモレートで処理すると白化症状が見られ,プラストキノンの減少に伴ってホモゲンチジン酸が顕著に蓄積した.また,植物中で代謝物のデスモルフォリノカルボニルシクロピリモレート(DMC)が検出された.このことから,シクロピリモレートまたはDMCが,プラストキノン生合成経路で4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼの下流で働くホモゲンチジン酸ソラネシルトランスフェラーゼ(HST)活性を阻害すると予想された.そこで,シロイヌナズナのHSTを用いてin vitro試験を行ったところ,シクロピリモレートは弱いHST阻害活性を,DMCは強いHST阻害活性を有していることが明らかとなった.さらに,DMC類縁体のHST阻害活性と白化活性には正の相関が認められた.以上の結果は,シクロピリモレートおよびDMCの作用点はHSTであり,本剤は商用利用される除草剤における新規作用機作をもつことを示している.