著者
寺下 隆夫 慮 成金 吉川 賢太郎 獅山 慈孝
出版者
日本きのこ学会
雑誌
きのこの科学 (ISSN:13407767)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.15-20, 1995
参考文献数
19
被引用文献数
5

ブナシメジの栄養生長環境について検討した.本菌の生育最適温度は25℃付近,栄養生長の培地初発pHは7付近であった.栄養生長にはグルコースが最適な炭素源で,スクロース,トレハロース,デンプン,キシロース,マルトースでも比較的良好な生長を示した窒素源としてはポテト抽出液(200gポテト)およびライドビヤーイーストが最良であった.カザミノ酸,麦芽エキス,グルタミン酸は本菌の生長に対して極めて悪い結果を示した.本菌の栄養菌糸の生長時における菌体外および菌体内に生産される加水分解酵素活性を併せて調べた.菌体外酵素ではβ-1, 3-グルカナーゼの菌糸生育に伴う活性上昇が著しかった.また,CM-セルラーゼ,アビセラーゼ,中性プロティナーゼ活性が生長に随伴して上昇した.菌体内酵素ではCM-セルラーゼ,アビセラーゼ活性が高かった.中性プロティナーゼ,酸性プロティナーゼ,N-アセチル-β-D-グルコサミニターゼ活性も確認された.キチナーゼ活性は培養25〜30日目に著しく高くなった.β-1, 3-グルカナーゼ活性は極端に低かった.また,プロティナーゼ活性は酸性より中性プロティナーゼが高いレベルを示した.