著者
吉川 賢太郎 撫井 賀代 福本 紘一 島田 豊治
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.161-164, 2004-06-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
13
被引用文献数
2

市販梅酒 (アルコール14%, 糖20%, エキス分30%含有) 100mlを毎日6カ月間継続飲用させた10人(43.5±15.2歳) を被験者とし, 梅酒飲用による健康人の血中脂と血圧に及ぼす効果についての予備的研究を行った。毎月1回, 身長, 体重, 血圧, 検尿 (尿蛋白質, 尿糖, ウロビリノーゲン, ケトン体) 測定を行った。原則として空腹時採血し, 血清総コレステロール, HDL-コレステロール, 血糖値, ヘモグロビンA1C, ヘモグロビン量, アルブミンを測定した。またBMI, 動脈硬化指数は計算によって求めた。その結果, HDL-コレステロールは飲用前値59.0mg/dlであったが, 飲用2カ月後から有意に増加し, 6カ月後に64.1mg/dlになった。また動脈硬化指数は飲用前値2.54で, 飲用2カ月後から有意に低下し, その後一定値を維持した。収縮期血圧は前値132.8mmHgであったが, 6カ月後に128.7mmHgと低下傾向を示した。拡張期血圧は飲用前値88.0mmHgであったが6カ月後に80.2mmHgと有意に低下した。血糖値は6カ月間に変化は認められず, ほぼ一定の87~89mg/dlを維持した。ヘモグロビンA1Cは血糖値と同様に有意の変化は認められず, 6カ月間ほぼ一定の4.8~4.9%であった。その他の検査に有意な変動は認められなかった。
著者
河野 又四 吉川 賢太郎
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.207-213, 1972-03-15

[Author abstract]The cause of soft fruits in immature Ecuador-banana were unknown. Formosa and Ecuador-banana, normal, soft-immature and anthracnose fruits were investigated on the olation, survival bacterial numbers, identification, inoculation-test, quantities of sugar and vitamin C. As a results, banana fruits were isolated about 30 kinds of Micrococcus, Staphylococcus, Streptococcus, Bacillus, rod-shaped bacteria, chained-rod-shaped bacteria, Aspergillus sp., Asp. niger, Penicillium sp.,P.italicum, P.digitatum, Gloeosporium musae, Fusarium, Monocillium spp.. However causal micro-organism of soft-immature-fruit were unfound. Inoculation test were used these isolates (30 kinds) and Candida albicans, Saccharomyces cerevisiae, Zygosaccharomyces soja, Clostridium welchii, Alkaligenes faecalis, Colletotrichum sp., Aspergillus oryzae, Aspergillus niger, Mucor sp. Penicillium islandicum. As a results were inoculated at flower-scar, fruits were caused rot, browning, blacking but not were caused soft-immature fruits. The quantities of sugar and vitamin C in banana fruits producing Ecuador were recognized high sugar (21.6mg) and low vitamin C (5.4mg%) on the immature soft fruit high vitamin C (18.7mg) and low sugai (3.3mg) on the normal fruits and middle sugar or vitamin C on the anthracnose fruits.[要約]1)エクアドル産バナナの未熟軟質果は低温輸送中の変質で微生物が関与していると推定されることから、昭和45~47年、京都市中央市場、神戸埠頭において入手した材料について正常、未熟軟質、炭そ病などの果実の果皮、果肉別に生菌数、分離菌の同定、接種試験、糖、ビタミンCの定量などを行い検討した。2)正常果の果皮、果肉にも汚染菌を認め、嫌気性菌も存在する。未熟軟質果、炭そ病果にも共通する微生物が認められるが未熟軟質果から固有の微生物を明らかにすることはできなかった。3)接種試験の結果からも特定の原因菌を明らかにできなかった。しかしながらバナナに変敗を生ずる菌の範囲は従来報告されているものよりも広範囲におよぶものと推定される。4)糖の含有量は熟果に多く、ビタミンCは未熟果に多い。未熟軟質果は糖が多く、ビタミンCは少ない。以上の結果から低温輸送中のバナナのうち一部のものは温度条件などが変り、代謝に変化を生じ、果肉が徐々に成熟し、これに非特定の汚染微生物が関与しているものではないかと推定される。
著者
吉川 賢太郎 撫井 賀代 福本 紘一 島田 豊治
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.161-164, 2004

市販梅酒 (アルコール14%, 糖20%, エキス分30%含有) 100m<i>l</i>を毎日6カ月間継続飲用させた10人(43.5±15.2歳) を被験者とし, 梅酒飲用による健康人の血中脂と血圧に及ぼす効果についての予備的研究を行った。毎月1回, 身長, 体重, 血圧, 検尿 (尿蛋白質, 尿糖, ウロビリノーゲン, ケトン体) 測定を行った。原則として空腹時採血し, 血清総コレステロール, HDL-コレステロール, 血糖値, ヘモグロビンA<sub>1C</sub>, ヘモグロビン量, アルブミンを測定した。またBMI, 動脈硬化指数は計算によって求めた。<br>その結果, HDL-コレステロールは飲用前値59.0mg/d<i>l</i>であったが, 飲用2カ月後から有意に増加し, 6カ月後に64.1mg/d<i>l</i>になった。また動脈硬化指数は飲用前値2.54で, 飲用2カ月後から有意に低下し, その後一定値を維持した。収縮期血圧は前値132.8mmHgであったが, 6カ月後に128.7mmHgと低下傾向を示した。拡張期血圧は飲用前値88.0mmHgであったが6カ月後に80.2mmHgと有意に低下した。血糖値は6カ月間に変化は認められず, ほぼ一定の87~89mg/d<i>l</i>を維持した。ヘモグロビンA<sub>1C</sub>は血糖値と同様に有意の変化は認められず, 6カ月間ほぼ一定の4.8~4.9%であった。その他の検査に有意な変動は認められなかった。
著者
寺下 隆夫 慮 成金 吉川 賢太郎 獅山 慈孝
出版者
日本きのこ学会
雑誌
きのこの科学 (ISSN:13407767)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.15-20, 1995
参考文献数
19
被引用文献数
5

ブナシメジの栄養生長環境について検討した.本菌の生育最適温度は25℃付近,栄養生長の培地初発pHは7付近であった.栄養生長にはグルコースが最適な炭素源で,スクロース,トレハロース,デンプン,キシロース,マルトースでも比較的良好な生長を示した窒素源としてはポテト抽出液(200gポテト)およびライドビヤーイーストが最良であった.カザミノ酸,麦芽エキス,グルタミン酸は本菌の生長に対して極めて悪い結果を示した.本菌の栄養菌糸の生長時における菌体外および菌体内に生産される加水分解酵素活性を併せて調べた.菌体外酵素ではβ-1, 3-グルカナーゼの菌糸生育に伴う活性上昇が著しかった.また,CM-セルラーゼ,アビセラーゼ,中性プロティナーゼ活性が生長に随伴して上昇した.菌体内酵素ではCM-セルラーゼ,アビセラーゼ活性が高かった.中性プロティナーゼ,酸性プロティナーゼ,N-アセチル-β-D-グルコサミニターゼ活性も確認された.キチナーゼ活性は培養25〜30日目に著しく高くなった.β-1, 3-グルカナーゼ活性は極端に低かった.また,プロティナーゼ活性は酸性より中性プロティナーゼが高いレベルを示した.
著者
河野 又四 吉田 靖彦 板谷 恭史 下坊 和也 吉川 賢太郎 寺下 隆夫 獅山 慈孝
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.11-19, 1995-03-15

Allyl isothiocyanate (AIT)および数種香辛料精油成分のAsp. oryzae No. 508, Sacch. cerevisiae IFO 0231およびBac. subtilis IFO 3009に対する抗菌性をろ紙円盤拡散法によって調べた結果,AITが最も優れた効果を示し,carvacrol (CAR), salicylaldehyde(SAL)がこれに次いで有効であった。また,これらの変異原性をS. typhimuriumを用いAmes testで調べたところ,TA98とTA100の両菌ともS-9 mixの添加によっても有意の変異原性を示さなかった。ショウジョウバエ,Drosophyla melanogasterのBINSC型とOregon-R型を用い精油成分の濃度による毒性(仮死または致死到着時間)を比較したところ,AITとSALの毒性が大であった。さらにハエの短毛についてspot testを行ったところ変異翅毛(炎毛)がOregon-R型において0.18ppmAITの処理10日後の供試虫10%に認められた。ミジンコ,Daphnia pulexに対する毒性を調べたところ,形態の変化は認められなかったが,環境悪化の時に出現する有殼卵(有性生殖で抵抗性が強い冬卵)の発現が0.04と0.06ppm AIT処理区の10日後のミジンコ5%に認められた。現在,AITによる発がん性は否定されているが,低濃度での血液,組織,器官などには影響があるので注意する必要がある。AITのガス接触による食品保存料が開発されているが,この場合の量は少なく濃度も低いので安全であると考えられるが,低濃度での多頻度使用の場合には,なお問題があるのではないかと考えられるので今後さらに検討する必要があろう。
著者
吉川 賢太郎 岩崎 はるみ 久保 美帆 福本 紘一 島田 豊治 撫井 賀代
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.27-34, 2008-03

[Author abstract] Ume liqueur (alcohol 14%, sugar 20%, Ume extract 30%), a traditional Japanese marketed liqueur from Prunus mume, was examined for its effect on blood pressure and influence on serum lipid levels in 5 healthy volunteers (mean age ± SD of 36.2 ± 13.5 years). The volunteers drank 100 ml of the Ume liqueur daily for 12 months and were observed for that period and for a 6-month follow-up, during which they did not drink the Ume liqueur. The systolic blood pressure decreased significantly from 126.0 ± 12.6 mmHg to 116.6 ± 14.6 mmHg after 10 months. The diastolic blood pressure also decreased but not significantly. When mean blood pressure was calculated, the systolic and diastolic values decreased significantly after five and six months, respectively. The total serum cholesterol levels tended to increase for 8 months, but thevalues did not change significantly. The serum HDL- cholesterol levels( before drinking: 62.8 ± 24.0 mg/dl) had increased significantly by 4 months (67.4 ± 21.0 mg/dl). During the period of drinking of Ume liqueur, body mass index, the other indexes of serum-biochemistry, blood examination and urinalysis did not change, and no adverse effects were observed in the experiments. Based on these findings, the possibility of marketing Ume liqueur as a functional food is suggested.[まとめ]一般的な市販食品の機能性を活用することによって成人の健康保持増進を行なうことを目的として本研究を行なった。健常者5 人を対象に,1日100ml の市販梅酒を12 ヵ月間飲用させ,血圧及び血清脂質に与える効果を観察し,その後6 ヵ月梅酒を飲用せずに経過観察して,以下の結果を得た。1. 糖分20%を含む市販梅酒を継続して飲用したにもかかわらず,BMI の変化は認められなかった。また,血糖値,HbA1C にも観察期間中には異常は認められなかった。2. 収縮期血圧は,飲用3 ヵ月後から低下傾向を示し,10 ヵ月後には有意に低下した。拡張期血圧は,飲用4 ヵ月後から低下傾向を示した。平均血圧を算出すると,飲用5,6 ヵ月後に有意に低下を示した。3. 血清総コレステロール値は,飲用期間中には有意な変化は認められなかった。血清HDL-コレステロール値は,飲用1 ヵ月後から増加傾向を示し,5 ヵ月後から有意に増加した。飲用停止3 カ月後には飲用前値とほぼ同値まで低下した。4. 肝機能への影響は,AST,ALT,γ-GTP を観察したが正常値の範囲であった。血液生化学的,血液学的パラメータ及び尿検査項目にも観察期間中には変化は認められなかった。記事区分:原著
著者
郡 俊之 山本 茂 吉川 賢太郎 蒲 尚子
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

中学生とその親が共に関係している食育モデルを新規に開発すること、および客観的指標によりその効果を評価することを目的とした。親子が関与する弁当をテーマにした食育介入は、給食の副菜(野菜)の摂取量増加、弁当のバランス改善に有効であった。また、介入終了7か月後の追跡調査では、給食の喫食状況は効果が持続していたが、弁当のバランスは元に戻っていた。食育は効果を確認しながら継続的に実施する必要があること、および効果が持続する食育プログラムの開発が必要であると考えられた。