著者
中村 哲也 慶野 征[ジ] 吉田 昌之 Tetsuya Nakamura Keino Seiji Yoshida Masayuki
巻号頁・発行日
vol.3, pp.47-67, 2005-03-31

本稿は、果実の地域需要が如何に変化し、如何なる要因によって地域間格差が存在したのかを、地方及び都道府県の側面から、需要関数を推定することによって明らかにした。分析の結果を要約すると以下の通りである。(1)3大地域別データに基づく需要分析では、1973年のオイルショック後、1988年の貿易自由化・バブル崩壊後、国内需要に変化が見られたが、前者の変化の方が大きかった。(2)都道府県別データに基づく需要分析では、果実需要の減退を表す変数を導入し推定したが、国内外産を問わず、主要5 果実の需要は大きく減退した。各果実の価格弾力性は、みかんでは産地において非弾力的であるが、りんご、なし、すいかでは産地でも弾力的であった。また、みかん、バナナは全国的に平準化した需要形態をとるが、りんご、なし、すいかなどは、地域特化した需要形態をとり、現在でも地域間格差が大きい。