著者
田邊 純 成松 翔太 石栗 太 飯塚 和也 増山 知央 横田 信三 吉澤 伸夫
出版者
宇都宮大学農学部
巻号頁・発行日
no.48, pp.117-121, 2012 (Released:2013-10-08)

林木育種において,苗木の木材性質及び曲げ性能の評価は,材質優良家系の早期選抜のために重要である。本研究では,4年生少花粉品種由来のスギ2家系(南会津4及び東白川9)を用いて,木材性質及び曲げ性能を評価し,材質の早期選抜の可能性を検討した。成長形質,木材性質及び曲げ性能に関して,使用した2家系間に有意な差が認められた。容積密度及び晩材仮道管S2層ミクロフィブリル傾角(MFA)は,スギ未成熟材における過去に報告された値とほぼ同様の値(30°)を示した。苗木の曲げヤング率(MOE)は,気乾密度及びMFAと関係があったことから,MFA及び気乾密度によって,MOEを早期推定できることが示唆された。しかしながら,供試した材料のほとんどに圧縮あて材が存在していた。そのため,苗木を用いてMFAを指標として材質を早期評価するためには,圧縮あて材の存在に注意すべきであることが明らかとなった。