著者
上原 敏則 粟國 敦男 金城 健 我謝 猛次
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.506-512, 2013-09-25 (Released:2013-11-26)
参考文献数
3

上位頚髄損傷では四肢麻痺に加え呼吸筋麻痺(respiratory quadriplegia)を伴い急性呼吸不全のため人工呼吸器での呼吸管理が必要となる.当医療センター開設後このような急性呼吸不全を伴う四肢麻痺の症例を8例経験した.来院時に直ちに挿管となったのが4例,そのほかは数時間後また数日後に挿管となった.2例は死亡した.これらの症例の脊髄損傷レベル,脊髄損傷程度(フランケル分類),合併損傷,など予後に影響するとおもわれる因子を調査した.死亡例の1例はC2椎体骨折で椎骨動脈損傷が疑われており,来院時より意識無く挿管となり5日後に死亡した.死亡例のもう1例は後縦靱帯骨化症を伴っており来院時意識呼吸とも安定していたが,2日後に突然心肺停止となり死亡された.環軸椎脱臼の1例は4年後の現在も人工呼吸器からの離脱無く,残りの5例は気管切開後人工呼吸器から離脱できた.これらの損傷レベルはC2/3脱臼以下で,来院時1例を除いてフランケル分類で完全麻痺のAであった.またC5/6脱臼の下位頚椎損傷も1例あった.