著者
戴 清華
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1320-1332, 1997-09-01
参考文献数
7
被引用文献数
1

歩留まり向上剤を使用せずにピッチ分散剤を導入すると製紙工場ヘッドボックスでピッチ分が増加した。この様な条件下に製造された紙は通常のシリンダーの印刷機 (CIC) 様式のマンローランド (Man Rowland) オフセット機使用の印刷工場で悪い成績を示した。CIC機のロールには50-70%の木材樹脂成分を含む繊維片が付着した。ピッチ除去のため促進剤 (エンハンサー) Aを併用するポリエチレンオキサイド (PEO) 歩留まり向上剤を導入した。これによりオフセットプレス機に付着する繊維屑, 粘着物の点から見て新聞紙の印刷性がすっかり改善された。<BR>歩留まり向上率 (ファースト・パス・リテンション: FPR) を高めるために, ダイナミックジャーで新しい促進剤を評価した。提進剤の1つを選び, 抄紙機試験を行い, 非常に有望な結果となった。<BR>しかしながら, 1995年後期の脱墨パルプの採用により, 不純物が移行することにより, 製紙における化学的な問題が発生した。最初のPEO歩留まり向上試験は不成功で, 再循環する白水中に繊維屑および粘着物が高積する結果となった。成形用ワイヤーおよびプレス用フェルトに粘着物のためにクラム生成 (Crumbling) の問題や紙料の不充分な脱水のため, 結局ウェットエンドで紙切れが起こった。1996年にベントナイト/促進剤/PEOに基づく新しい歩留まり向上方式の採用を開始した。これは画期的な進歩と考えられ, これにより抄紙機の操業効率が相当改善された。