著者
戸水 吉信
出版者
金沢大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

学習指導要領の改訂に伴い,数学的な活用力を育てる授業のあり方についてこれまで研究をすすめてきた。本研究の目的および意義は,日常生活における身の回りの事象を数学的にモデル化し,数学的手法を用いてそれらの問題を解決する生徒の成功体験モデルを増やし,数学的な活用力を育てる授業モデルとして,データベース化をすすめることである。また,データベース化したものを冊子にまとめ,市内中学校へ配布すると共に,本校ホームページにアップすることで,より多くの数学指導者とそれらを共有し,さらによりよい授業のあり方について検討をすすめることができると考え,実践を行った。その実践内容は以下の通りである。(*)は,研究費で購入した電子黒板を用いた実践である。また,実践全般にわたって,研究費で購入したプリンタ・スキャナ複合機を用いて,生徒が書いたレポートの電子データベース化を行った。(1)6月単元「連立方程式」での実践買い物ゲームと問題づくり(2)8月データベースづくり(昨年度までの研究実践に基づいて)(3)9月単元「1次関数」での実践ダイヤグラムのシミュレーションと問題づくり(*)(4)10月単元「平行と合同」での実践デジタルカメラでの取材と電子データベース(*)(5)11月単元「平行と合同」での実践合同な黄金三角形づくりゲーム(6)1月単元「確率」での実践確率実験とシミュレーション(*)(7)2月単元「資料の活用」での実践問題解決型の課題設定の工夫これらの実践に,昨年度までの次の5つの実践を加えて,研究の成果を「数学的活用力を育てる授業のあり方~指導事例集~」という冊子にまとめた。(8)降雨時のトンネルの点検の必要性を,その降水量から正負の数を用いて解決する(9)等式の変形を利用して,まんじゅうの詰め方を考える(10)2次方程式を利用して条件にあった牛乳パックを作る(11)作図を用いて,鉄道建設の問題を解決する(12)相似な図形の性質を用いて,地図上の所要時間の問題を解決するこの冊子は金沢市内中学校に,5月の中学校数学教育研究会で配布する予定である。また,その冊子をPDF化したファイルを,本校数学科のページにアップした。