著者
戸谷 和夫
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.384-387, 2017

<p>出版,広告業界では,顧客のニーズに合わせたプロモーションツールとしてのオンデマンド印刷が市場を伸ばしている。顧客の住所や氏名,地域別広告や顧客の嗜好を元にした商品の案内など可変情報の印刷が可能なオンデマンド印刷は装置の普及も進み,着実に市場に浸透している。クレジットカードの明細書や携帯電話の請求書,ダイレクトメールなど身近に目にするものが多く,日常生活の中でオンデマンド印刷が増加していることを感じておられることと想像する。</p><p>新聞業界においても,製版の必要が無く,少量印刷に優位なインクジェット印刷の導入が始まっており,将来,印刷部数の少ない地方新聞,全国紙地方版などがインクジェット印刷へ切り替わった場合に備え,筆者らは,新聞用インクジェット用紙に要求される各種品質を付与するために古紙パルプの使用,最適なインク定着剤の選定,インク定着剤量およびサイズプレス塗工量の最適範囲の設定,新聞用インクジェット用紙の開発を行った。</p><p>本稿では,筆者らが検討してきた,新聞用インクジェット用紙の技術開発について紹介する。</p>