著者
薩本 弥生 手塚 香代
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.701-709, 2005

本研究では, 着装シミュレーションソフトを使用して着用者の顔の印象が着装イメージに与える影響について検討した.顔の印象により, 服のみの状態とで着装イメージに違いがあるか, また, 被験者の性別やファッションへの関心度, 着用者との親しさの度合いによって評価に違いがあるか検討した.横浜国立大学の学生86名を対象に6種の服に関して「服のみ」, 着用者の「顔つき着装イメージ」の各々について形容詞対を用い7段階SD法による官能評価を行った.<BR>因子分析の結果, 「服のみ」では「性別と時代性の因子」・「年齢性と明るさの因子」・「装飾性の因子」の3因子が抽出され「モデルの顔つき着装イメージ」では「年齢性と装飾性の因子」・「似合う評価の因子」・「性別性の因子」の3因子が抽出された.両者を比較すると, 「モデルの顔つき着装イメージ」には「服のみ」の着装イメージの基本因子に「似合う評価の因子」が加えられていることが分かる.「着装イメージ」の因子負荷量に着目し「着装イメージ」の評価に影響する因子を検討したところ, 当初の予測に反してモデルとの面識の度合いの着装イメージへの影響や, ファッション関心度による着装イメージへの影響は見られなかった.一方, 顔の印象により着装イメージの評価が異なる場合があることがわかった.