著者
手島 隆一郎
出版者
愛知教育大学
巻号頁・発行日
2021-03-23

「主体的・対話で深い学びの実現」に向けた授業改善が進んでいる。しかし,対話的活動を組織しても, 個別には全く発言しなかったり,発言したとしても1,2回で済ませ,話し合いを他の生徒に任せてしまう生徒が見られ, 表面的な「対話的な学び」が多いことも課題である。本研究は,理科授業における「対話的な学び」に着目して,生徒たちが問題解決で協働しつつ,自分たちの話し合いの状況について自己評価が行える手法であるスパイダー討論を導入した場合の話し合いの在り方やその指導方法について検討し,授業実践を通して,その効果検証を行うことを目的とした。生徒たちは,目標をルーブリックに置き,話し合いや振り返りを行い,教師が発話状況を可視化するクモの巣図を描いて振り返ることを重ねて実践した結果,生徒たちは話し合いに意欲的に参加し,協力するためのスキルや他者の考えを発展させたり,自分の考えを分かりやすく納得を得るように発言したりするスキルを磨くことが確認できた。また,話し合い活動における平等な参加が,生徒集団の親密化を促進し,言語活動の充実にも寄与したものと考えられる。