著者
海老名 卓三郎 太田 実 打和 秀世 村上 梅司
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.580-589, 1994-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
16

皮膚ケラチンとは反応せず,毛髪に特異的に結合し,毛髪の破断強度を上げる抗毛髪ケラチ ン抗体を含む初乳ならびに常乳を免疫牛に産生させた.人毛髪ケラチン50mgを出産60日前のホルスタイン牛に筋肉内に注射し,(2~3)週間後に同抗原を乳房内または乳房リンパ節附近に投与すると,血中抗体価ならびに初乳中の毛髪ケラチンに対する抗体価は105に上昇した.この時,免疫牛一頭の初乳中に(1~1.5)kgのIgGを産生することが出来た.さらにこれらの免疫牛に分娩2~3ヵ月後ケラチンを50mgずつ筋肉注射し,4週おきに同抗原を筋肉内液射又は腹腔内注射を3回行なったところ,常乳中に初乳と同等の比活性を持った抗体が出来るにとを見出した.常乳では300日間搾乳することができ,全体では(4~5)kgのIgGを得ることができる.にれより,初乳に加えて常乳を抗体生産に利用するにとが可能となった.