著者
日野 常稔 持田 晃一 岡村 誠三
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.225-233, 1983-04-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
7
被引用文献数
5 7

固定化材料や組織適合性材料などいわゆるバイオマテリアルとして, ポリビニルアルコール (PVA) とケイ酸との複合体について検討を行った. ゾル状の複合体がPVA水溶液中でテトラエチルオルソシリカート (TES) を加水分解することによって合成することができた. このゾルは中和によって水不溶性のゲルに変り, 又乾燥すればキセロゲルとなる. PVAとケイ酸との問の結合には化学結合の存在が推定され, これは水による溶解度と膨潤度の測定を含めて赤外吸収スペクトルや結晶化度の測定結果から指摘された. 微生物菌体・酵素・タンパク質・その他の高分子がこの複合体の中和の際に容易に固定される. また生体組織適合性は十分に良好であり, 組織との固定の状態も強いことが見いだされた.