著者
掛部 晋
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.37-62, 2012

2008年5月12日14時28分(現地中国時間)中華人民共和国(以下中国)四川省ぶん川県映秀鎮を震源とするマグニチュード8。0の巨大地震が発生した。死傷者46万人,家屋倒壊22万棟と大きな被害をもたらした。一方で,地震による森林の被害面積は33万ha及び,この森林植生を回復するため,日本の治山技術と中国の技術を合わせ現地に適合した森林植生回復技術を開発することを目的として独立行政法人国際協力機構(JICA)は中国政府の要請に応え,本プロジェクトを2010年2月1日から開始した。具体的には,地震被害が大きかった四川省内の綿竹市,北川県,ぶん川県の3市県をプロジェクトサイトとして,それぞれに試験施工地を設け,治山事業を実施し,その実施を通じて技術開発,技術普及を行っていこうというものである。本稿では2010年度に3市県において実施した治山工事について述べる。