著者
敷地 孝法 野本 正志 大浦 一 桑名 隆一郎 中瀬 美穂
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.141-146, 1997-02-01 (Released:2011-01-14)
参考文献数
11

アクアチム®クリーム(ナジフロキサシン; 大塚製薬)はP. acnesに対し強力な抗菌作用を持ち耐性菌も出現しにくい製剤とされている。今回, 我々は尋常性ざ瘡の患者23例を対象にミノマイシン®とアクアチム®クリームを併用し, 治療対象部位の閉鎖性面皰, 開放性面皰, 丘疹, 膿疱に対する有用性について検討した。その結果, 本疾患に対するアクアチム®クリームとミノマイシン®併用療法とアクアチム®クリームとミノマイシン®短期併用療法は共に8割以上の全般改善が認められた。特にアクアチム®クリームとミノマイシン®短期併用療法はミノマイシン®を1週後に投与中止しているにも関わらず治療効果が減弱していなかった。すなわち尋常性ざ瘡の治療は内服剤が主と考えられているが, 経過観察を十分行えば外用剤での病状維持または治癒治療が可能とも考えられた。以上より尋常性ざ瘡に対しアクアチム®クリームは有効であり, 内服剤の減量が必要な場合にはアクアチム®クリームとミノマイシン®短期併用療法は試みるべき治療方法と考えられた。
著者
敷地 孝法 滝脇 弘嗣 村尾 和俊 藤田 真弓 荒瀬 誠治 浦野 芳夫 石上 剛史
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.57, no.13, pp.1202-1204, 2003-12-01

66歳,女性.左手の有痛性の発赤・腫脹に対してノイロトロピン(R)が奏効し,臨床経過より反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)と診断した.約1か月前に左手に強い疼痛と腫脹が出現し,近医で抗生剤の投与を受け一時は軽快したがすぐ再燃.当科受診時,左手全体に熱感・発赤を伴う腫脹あり.WBC7,100/μl,CRP0.12mg/dl.組織細菌培養は陰性.病理組織像も蜂窩織炎の所見なし.入院のうえ,再び抗生剤を点滴したが効果なし.ノイロトロピン(R)を4T/日から内服したところ1週間で効果が現れ,3週間で疼痛,腫脹とも消失した.RSDは四肢に生じる難治性の慢性疼痛症候群の一つで,初期には発赤・腫脹を伴うため蜂窩織炎との鑑別が難しい.早期の診断と治療が予後を大きく左右するため,まずはRSDを疑うことが重要と思われた.