著者
藤本 亘
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.92-96, 2012-04-10

要約 酒皶は顔面にほてり,潮紅を繰り返すことを特徴とする慢性疾患であり,患者のQOL低下に対し皮膚科医が責任をもって治療すべき疾患である.コクランシステマティックレビューで酒皶に有効と判定されているのはメトニダゾール外用,アゼライン酸外用,および低容量ドキシサイクリン(40mg)内服である.本邦では酒皶の治療に有効な外用薬が保険適用薬として処方できないため,酒皶に対し適切な治療が行いにくい状況にある.酒皶様皮膚炎の発症を減らすためには,皮膚科医が酒皶に対しエビデンスに基づいた治療を行えるようにこの状況を変えることが急務である.
著者
岡田 理
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.119, 1997-04-15

「皮膚科の先生,焼身自殺の人が運ばれてきましたので,すぐ来てさい.」ICUの婦長さんからの電話である.「またか」と,医局に重苦しい空気が流れる.ICUへ行ってみると全身黒こげの若い女性が救急部のスタッフの治療を受けている.両親から話を聞くと,うつ病で治療中であったが,死にたい死にたいと何度も口にしていたとのこと.やけどの状態を説明すると,治療はいりませんから死なせてあげて下さいと懇願される.両親の要求をそのまま実行しようものなら大きく叩かれる昨今である.結局,懸命の治療にもかかわらずこの患者は20日後に亡くなってしまった.このようなことが繰り返される度に“焼身”自殺を止める策はなかったのかと思うのだが.昨年1996年の1年間で,5名の焼身自殺患者が当院に搬送されてきた.そもそも秋田県は人口当たりの自殺者の数が全国でも1〜2位を争うほど多い県である.北国の秋田では容易に灯油が入手できるので,焼身という手段が選択されているのであろう.救急蘇生の技術が発達した昨今では,どんな熱傷患者でもショック期を脱することが可能となっている.一命を取りとめた後は死ぬより辛い痛みが待ち受けている.また,形成外科がなく,救急部のスタッフの極めて少ない当院では,重症熱傷の治療に皮膚科が全面的に関わるので,医局員の少ない当科には大きな負担となっている.もちろんこうした患者の治療にも多額の医療費が使われているのが現実である.このような悲劇をなくすために,焼身自殺の悲惨さを広く知らしめることはできないものだろうか.皮膚科医,救急科医,精神科医などが協力して一大キャンペーンを行って頂ければありがたい.「焼身自殺はやめましょう,もしするなら他の方法でお願いします…」とは言えないが.
著者
片桐 一元
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.94-98, 2014-04-10

要約 多形慢性痒疹は掻痒が強く,難治であるため皮膚科外来診療の中では最も避けたい疾患の1つとされている.筆者は多くの同症患者の診療を通じて独自のステップアップ式治療アルゴリズムを作成し,実際の診療に用いている.原則的に十分量の外用を試み,単剤の抗ヒスタミン薬,ロラタジン(クラリチン®)とオロパタジン塩酸塩(アレロック®)を中心とした抗ヒスタミン薬の2剤併用,マクロライド系抗菌薬の追加,紫外線照射もしくはシクロスポリン内服とステップアップする.自験例102名の解析では68%は抗ヒスタミン薬の2剤併用で,92%はマクロライド系抗菌薬の追加までで安定した状態となった.難治性疾患に対して明確な治療ステップを準備することは,苦痛の強い患者に安心感を与えるだけでなく,医療者にも余裕を持たせてくれる.また,本疾患の治療アルゴリズムは他の痒疹やアトピー性皮膚炎治療に応用することも可能であり汎用性を有している.
著者
林 圭 西 薫 堀 仁子 山本 明美
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.671-674, 2016-08-01

要約 25歳,男性.ブリ摂食後に蕁麻疹の出現を数回経験していた.生寿司を摂取後に顔面の瘙痒と息苦しさを自覚し,救急外来を受診した.クロルフェニラミンマレイン酸塩とメチルプレドニゾロンの点滴を行ったところ症状は速やかに改善した.問診の結果,ハマチの寿司を摂食したことが原因であると考えられた.魚介類のIgE-RAST検査はすべて陰性であり,マグロ,カツオ,シメサバ,アジ,ブリ,ハマチでプリックテストでは,ブリとハマチのみに陽性を示した.病歴からヒスタミン中毒やアニサキスアレルギーは否定的であり,ブリ(ハマチ)単独のアレルギーと診断した.ブリ(ハマチ)のアレルギーではパルブアルブミンやコラーゲンなどの抗原蛋白の関与は低いとされている.ブリは比較的有名な出世魚であるが,患者はブリとハマチが同種の魚であることを知らなかった.魚は地域や大きさによりさまざまな呼び名が存在するため,医療者側も注意が必要である.
著者
禾 紀子 中山 秀夫 鶴町 和道 栗原 誠一
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1001-1006, 1988-11-01

練り歯磨中のハッカ油(Japanese mint oil)が原因と思われる,臨床的・組織学的に典型的な口腔粘膜扁平苔癬の1例を報告する.貼付試験にて,ハッカ油強陽性を示し,歯磨,菓子類等に含まれるミントを避ける生活で,病巣の著明な改善をみ,以前の歯磨再使用で再発をみた.
著者
村尾 和俊
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.155-157, 2016-04-10

summary英国では,2014年に疣贅治療のガイドラインが発表された.疣贅にはさまざまな治療が行われているものの,有効性を示すエビデンスレベルの高い研究は多くはない.英国のガイドラインでは,最も推奨される疣贅治療はサリチル酸製剤であり,次いで凍結療法となっている.そして,これらが無効ならブレオマイシン局注や接触免疫療法,5-フルオロウラシルクリームなどを考慮する,ということになる.本稿では,この英国における疣贅治療のガイドラインについて概説した.
著者
木下 ひとみ 中村 吏江 幸 絢子 天野 愛純香 白石 剛章 森本 忠雄
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.863-867, 2019-10-01

要約 62歳,男性.賞味期限切れの納豆を摂取し,蕁麻疹と血圧低下を生じた.大豆製品を日常的に摂取し問題ないこと,クラゲ刺傷の既往があったことから,クラゲ刺傷によって生じた納豆アレルギーを疑った.クラゲ刺傷によってポリガンマグルタミン酸(poly-gamma-glutamic acid:PGA)に感作されるが,納豆の粘稠物質にもPGAが含まれており,このPGAは納豆の発酵過程で経時的に増加すると考えられている.そこで賞味期限内および賞味期限切れの納豆,納豆の粘稠物質,大豆の水煮,ミズクラゲ,PGAを用いてプリックテストを施行した.賞味期限切れの納豆,納豆の粘稠物質,PGAで陽性であり,PGAによるアナフィラキシーショックと診断した.PGAは医薬品で使用されるほか,食品や化粧品等広い分野で使用されているため,原因不明のアナフィラキシーでまず疑うことが大切であり,クラゲ刺傷の既往や詳細な食事歴の聴取が重要である.
著者
敷地 孝法 滝脇 弘嗣 村尾 和俊 藤田 真弓 荒瀬 誠治 浦野 芳夫 石上 剛史
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.57, no.13, pp.1202-1204, 2003-12-01

66歳,女性.左手の有痛性の発赤・腫脹に対してノイロトロピン(R)が奏効し,臨床経過より反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)と診断した.約1か月前に左手に強い疼痛と腫脹が出現し,近医で抗生剤の投与を受け一時は軽快したがすぐ再燃.当科受診時,左手全体に熱感・発赤を伴う腫脹あり.WBC7,100/μl,CRP0.12mg/dl.組織細菌培養は陰性.病理組織像も蜂窩織炎の所見なし.入院のうえ,再び抗生剤を点滴したが効果なし.ノイロトロピン(R)を4T/日から内服したところ1週間で効果が現れ,3週間で疼痛,腫脹とも消失した.RSDは四肢に生じる難治性の慢性疼痛症候群の一つで,初期には発赤・腫脹を伴うため蜂窩織炎との鑑別が難しい.早期の診断と治療が予後を大きく左右するため,まずはRSDを疑うことが重要と思われた.
著者
内田 敦子 土居 敏明 難波 倫子
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.503-505, 2007-06-01

要約 31歳,女性.ネフローゼ症候群の治療中に,円形の落屑性局面が体幹を中心に次々に出現するようになった.病理組織学的に不全角化を伴わない角質増生,顆粒層の減少,有棘層の菲薄化がみられ,臨床症状と併せて連圏状粃糠疹と診断した.ネフローゼ症候群の改善と尿素軟膏の塗布により,皮疹は約2か月後には軽快した.本疾患は,悪性腫瘍や結核に合併することが多く,消耗性疾患のデルマドロームの一型と考えられている.
著者
一ノ宮 愛 西本 勝太郎 田中 正和
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.265-270, 2018-03-01

要約 23歳,女性,看護師.初診の3年前より右足底疣贅に対しヨクイニンを内服したが効果なく,左足底にも拡大し2015年7月当科を紹介受診した.右母趾腹〜母趾球部,第1足趾間周囲,左母趾球部,踵,アキレス腱部に角化性局面を認め,右足底は癒合しモザイク疣贅の状態であった.削り処置と液体窒素凍結療法を行ったが足底はほとんど変化なく,35日後より夜間のみの活性型ビタミンD3密封外用療法を毎日患者自身で施行してもらった.外用16日後,明らかに軽快し,68日後・初診100日後治癒した.疣贅治療には絶対的に有効なものはなく,病型,重症度,年齢,部位,治療歴,治療へのコンプライアンス等を考慮して治療法を選択する必要がある.活性型ビタミンD3密封外用療法は治療に難渋することの多い足底疣贅に対して有効性を期待できる治療法の1つであると考える.
著者
山本 向三 飯塚 万利子 赤坂 江美子 馬渕 智生 梅澤 慶紀 太田 幸則 松山 孝 小澤 明 藤井 光子 川端 寛樹 渡邉 治雄 古屋 由美子 黒木 俊郎 谷 重和
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1161-1164, 2005-11-01

要約 62歳,女性.神奈川県宮ヶ瀬の山林にハイキング後,右膝に吸血したヒルに気付いた.その14日後より吸血部に紅斑と,同部の疼痛が出現し,38℃台の発熱も認め,さらに2日後には,吸血部を中心に環状に紅斑が拡大した.また,全身に発疹が出現し,頭痛,関節痛,全身倦怠感などの全身症状も伴っていた.セフェム系抗生剤点滴を行い,これらの症状は改善した.なお,Lyme病抗体価は陰性であった.皮膚症状としての環状紅斑,また全身症状を呈したヒル咬傷は稀と思われた.
著者
野村 房江
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.1161-1166, 1969-11
被引用文献数
1
著者
西川 武二 稲田 めぐみ 高 理佳 赤尾 信明
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.14-17, 2000-01-01

46歳,女性.初診の2週間前から躯幹に軽度の痒みと違和感を伴う爬行性線状皮疹が出現した.好酸球数,IgE値は正常.8種類の寄生虫抗原(宮崎肺吸虫,ウエステルマン肺吸虫,アニサキス1型幼虫,ブタ蛔虫,イヌ糸状虫,イヌ蛔虫,ネコ蛔虫,マンソン裂頭条虫プレロセルコイド)を用いたELISAはいずれも陰性,ドロレス顎口虫抗原を用いたELISA,寒天ゲル内二重免疫拡散法も陰性であった.線状皮疹の終点とその遠方を含めて外科的に切除後,皮疹と自覚症状は消失した.脂肪組織内に虫体断片があり,腸管断面の形態より有棘顎口虫の幼虫と同定した.摂食歴とあわせ,自験例はウナギの肝吸いから感染した可能性が高いと考えられた.今後creeping-diseaseの感染源としてウナギの生食あるいは肝吸いも念頭におく必要があると思われる.
著者
足立 厚子 大塚 晴彦 山野 希 濵岡 大 井上 友介 一角 直行
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.170-172, 2019-04-10

summary第二子出産後,初めての夫との性交渉後に顔面浮腫,呼吸苦などのアレルギー症状を起こした29歳女性を経験した.夫が採取した精液を遠心分離して得た精漿希釈液を用いたプリックテストが陽性を示し,ヒト精漿アレルギーと診断した.血清特異的IgEでは,ヒト精漿とともに,イヌ上皮にも陽性を示し,イヌアレルゲンコンポーネントでは,r Can f 5(アルギニンキナーゼ,prostatic kallikrein)が高値で,r Can f 1,r Can f 2,r Can f 3は陰性であった.牡イヌ上皮中のCan f 5に感作された場合,その交差反応により,ヒト精漿アレルギーが発症するとの報告がある.自験例は第二子出産前後に里帰りした実家で飼育されていた牡イヌに接触して,イヌ上皮中のCan f 5に感作され,出産前までは無症状であったが,出産後初めての夫との性交渉時にヒト精漿アレルギーを起こしたと考えた.性交渉時のコンドーム使用にて症状の再発はない.
著者
松岡 晃弘 矢島 健司 渡部 秀憲 川上 民裕 相馬 良直
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.98-101, 2008-04-10

要約 シクロスポリン内用液含嗽療法は,扁平苔癬や天疱瘡による難治性口腔内病変に対して,その有効性が報告されている.筆者らは,78歳の女性の天疱瘡患者の,ステロイド内服治療に抵抗する口腔内病変に対し,ネオーラル®内用液含嗽療法を行い,その良好な治療効果を確認した.含嗽時に口腔内灼熱感と疼痛がみられたが,粘膜症状の改善とともに軽減した.その他の副作用はなく,シクロスポリンの血中濃度も測定感度以下であった.シクロスポリン内用液は天疱瘡に対する保険適用がなく,含嗽という投与形態も認められていないため,天疱瘡に対するシクロスポリン内用液含嗽療法は安易に行ってよい治療法ではない.しかし,適切に使用すればほとんど副作用はなく,高い効果が期待できることから,ステロイド増量や免疫抑制薬内服が困難な患者に対しては,十分なインフォームド・コンセントを得たうえで,試みてもよい治療法であると思われた.
著者
後藤 一美 丸山 友裕
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1131-1133, 2003-11-01

掌蹠・腋窩多汗症患者10例に対して,入院の上,水道水イオントフォレーシスを行った.治療期間は約2週間,治療時間は各10~20分,1日1~3回連日施行した.効果判定は患者の自己評価に基づいて行った.手掌では,10例中著効6例,有効2例,やや有効2例,足底では,7例中著効1例,有効4例,やや有効2例,腋窩では,3例中著効2例,やや有効1例であった.また,各部位の全対象患者において無効例は認められず,本療法の有用性が示唆された.
著者
大沼 すみ 竹川 清 岡島 光也 川口 とし子 大沢 純子 北村 和子 池澤 善郎
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.597-601, 1997-07-01

過去4年間にラノリン製剤による接触皮膚炎を23例経験した.男性6例,女性17例.平均年齢は35.6歳であった.基礎疾患はアトピー性皮膚炎が最も多く,18例,78%を占めた.基礎疾患の罹病期間は平均10.8年と長くなっていた.原因薬剤はアズノール軟膏が最も多く15例,次いでアンダーム軟膏が10例であった.1995年の当科におけるラノリン,ラノリンアルコールのパッチテスト陽性率は4.5%であった.基礎疾患の約8割を占めたアトピー性皮膚炎では,総IgEが4桁の症例が最も多く,罹病期間も平均13.3年と長くなっていた.また,顔面の皮疹を伴う症例が大半を占め,原因薬剤の使用部位も顔面が最も多くなっていた.ラノリン製剤は種々の医薬外用剤,化粧品に含まれているが,重症,難治性で顔面に皮疹があるアトピー性皮膚炎の症例では,ラノリン製剤の接触皮膚炎を疑って,パッチテストを行うことが望ましいと思われた.
著者
帖佐 宣昭 江良 幸三
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.132-134, 2008-04-10

要約 皮膚真菌症の診断において,苛性カリ(KOH)直接鏡検検査は重要であり,菌の検出を容易にするのに従来からパーカーブルーブラックインク(Parker-super-Quink permanent-blue-black-ink:Parker BB)を加え汎用されていた(パーカーブルーブラックインク・KOH法:Parker BB・KOH法).しかし,1995年までにつくられた製品だけが使用可能で,現在市販されているParker BBでは染色できず利用できない.当科では現在市販されているパーカーブラックインク(Parker-Quink black-ink)をKOH液に加えて使用し(パーカーブラックインク・KOH法:Parker B・KOH法),癜風,カンジダ症などをはじめ皮膚真菌症において菌要素がきれいに青染されることを確認している.筆者らが行っているParker B・KOH法は,従来のParker BB・KOH法と比較しても遜色なく,菌要素がきれいに青染され,実地診療上,真菌の直接鏡検検査としてきわめて有用である.
著者
鹿毛 勇太 磯田 祐士 大川 智子 渡邉 裕子 金岡 美和 相原 道子
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.31-35, 2017-01-01

要約 70歳,男性.右上顎洞悪性黒色腫術後に全身の紅斑が出現した.皮疹出現より4日目に発熱と皮疹が急速に増悪し,Stevens-Johnson症候群と診断した.被疑薬はすべて中止し,ベタメタゾン8mg/日の点滴を開始し,翌日よりステロイドパルス療法を施行したが病勢が進行し,表皮剝離が進行したため,中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)と診断した.集中治療室に転棟し,全身処置を行いながら血漿交換療法,大量免疫グロブリン静注療法を併用した.最大表皮剝離面積は80%に及んだが,16日目より皮疹の改善がみられ,32日目には完全に上皮化し,後遺症を残さず治癒した.TENの急速進行期では,各種の免疫調整効果を組み合わせた治療が有効であると考えた.