著者
斎藤 共永
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.55-62, 2002-05-31

本稿では、多様な可能性を秘めたデジタル機器のデザインにおいて、イノベィティブなデザイン生成のための方法としてのプロトタイピングについて検討する。プロトタイピングのもつ意味は、次の諸点にまとめられた。1)プロトタイピングの文化はイノベーションの質を決定づける。2)デジタルの価値創造においては、非線形的なプロトタイピングの役割が大きい。3)それは、デジタルの価値が、主に非モノ特性からなることによる。4)プロトタイプからスペックを導くプロトタイピング主導型のプロセスが必要である。5)プロトタイプは、開発過程における共通言語となる。これらを検証するために、企業のデザイン組織において、プロトタイピングがどのように行われているか調査を行った。その結果、技術や社会の変化を考慮に入れて、製品のあるべき姿を描くというプロトタイピングが、企業の開発プロセスや、組織構造などの中に組み込まれており、プロトタイピングが、これからのデザインプロセスとして、有効であるとの認識が定着しつつあることが分かった。
著者
斎藤 共永
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.55-62, 2002-05-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
14

本稿では、多様な可能性を秘めたデジタル機器のデザインにおいて、イノベィティブなデザイン生成のための方法としてのプロトタイピングについて検討する。プロトタイピングのもつ意味は、次の諸点にまとめられた。1)プロトタイピングの文化はイノベーションの質を決定づける。2)デジタルの価値創造においては、非線形的なプロトタイピングの役割が大きい。3)それは、デジタルの価値が、主に非モノ特性からなることによる。4)プロトタイプからスペックを導くプロトタイピング主導型のプロセスが必要である。5)プロトタイプは、開発過程における共通言語となる。これらを検証するために、企業のデザイン組織において、プロトタイピングがどのように行われているか調査を行った。その結果、技術や社会の変化を考慮に入れて、製品のあるべき姿を描くというプロトタイピングが、企業の開発プロセスや、組織構造などの中に組み込まれており、プロトタイピングが、これからのデザインプロセスとして、有効であるとの認識が定着しつつあることが分かった。
著者
斎藤 共永
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.37-46, 2002-05-31
被引用文献数
1

本稿は、デジタル機器に求められる製品コンセプトのイノベーションは、どのようなデザインプロセスによって達成されるのかを具体的な開発事例をとおして、探ったものである。製品デザイン開発の担当者などへの取材から以下のような諸点が抽出できた。(1)非モノ特性に焦点をあてたデザイン目標の設定。(2)技術シーズ主導型や市場ニーズ主導型ではない、開発者のビジョン主導のデザインプロセス。(3)プロトタイピングによるデザイン目標の形成プロセス。(4)トップダウンとボトムアップによる双方向的なコンセプト形成過程。(5)開発関係者どうしの組織を超えた知のインタラクション。これらはいずれも公式的な組織構造に依存しているものではなく、関係者どうしの非公式的な相互作用のありかたによるものであり、創発的なデザインプロセスである。デジタルがキーになる機器デザインにおいて、イノベィティブなデザインを実現するためのプロセスとして創発性が重要なキーとなることが明らかになった。