著者
斎藤 嘉代
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・造形学研究 (ISSN:13461869)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-7, 2007-01

たて・よこ方向に伸びるツーウェイ・ニットのなかでもツーウェイトリコット地の縫製について興味深いデータが出現したので報告する。通常この布地は,競泳用水着やレオタードなどの身体に密着した衣料用として使用される。高機能を持った布地は繊維メーカーとスポーツメーカーの共同開発により一般市場に流通しない布地も多い。また,縫製も難しく特殊ミシンでなければ制作できないイメージがありスポーツメーカーの独壇場といった観がある。しかし今回の縫合実験から,家庭用のミシンでの縫製が充分可能なことが分かった。縫い目として使用した直線ミシン地縫い(JIS ステッチ形式301)重ね縫い(301)3 針ジグザグ縫い(321)小型ロック3 本糸ミシン(505)で布目を変え縫合し縫い目に対する方向別引っ張り強伸度を測定し,縫い目の抵抗値を求めた。結果,縫い目方向と引っ張る方向が一致し平行になると抵抗が最大になり糸切れの危険がある。しかし,それ以外の方向では,縫い目に対する抵抗は低く伸びる縫い方をした場合と大差がなくデザインの可能が示唆された。