著者
高橋 泰 斎藤 奈々 野末 睦
出版者
Japan Society for Health Care Management
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.410-414, 2009

医師・看護師・医療技術職で構成されていたクリティカルパス委員会へ、診療情報管理士が加わり運用方法の改善を行った。診療情報管理士が加わった当初は、看護師主体の運用の補助業務をするに止まり、診療情報管理士加入による利点は多くなかった。そこで、診療情報管理士がより主体的に関わる事とし、従来の運用方法、運用状況、臨床結果から運用規定とバリアンス規定の作成を実施した。運用の主な変更点として、クリティカルパス様式及び情報管理を、各診療科管理から全診療科一元管理へ変更した。院内 LAN システム上でクリティカルパスの様式を確認印刷が出来るようにした事で利便性が向上した。又、クリティカルパス使用時に得られた情報は、病歴システム上の情報と統合された。その結果、クリティカルパス使用患者の情報は6種類から51種類に増加した。次に、バリアンス規定を作成した。バリアンス規定作成後はバリアンス報告数が増加し、使用クリティカルパスあたりのバリアンス発生クリティカルパス比率は増加した。又、診療情報管理士により、あるバリアンスに関する問題提起がされ、それに基づいて診療科ではクリティカルパス内の再検討を行った。その結果、そのバリアンスはχ 2 乗検定をもって有意に減少した。このように、診療情報管理士がクリティカルパスの運用に積極的に関わる事で、多職種の職員が共同使用するクリティカルパス運用において改善がなされた。