著者
斎藤 忠志
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢. 商学研究 (ISSN:02858932)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.11-61, 2004-09-30

家電流通機構は未整備であったが, 戦後, 大量生産体制を確立した家電メーカーは卸売段階, 小売段階に対して各種の指導・援助を提供し家電流通経路を整備した。その結果, 卸売段階はメーカーの販売会社となり, 小売段階は各メーカーの系列店と呼ばれるものになった。業界は成長するが製品普及率の高まりとともに, 複数メーカー製品を扱う非系列の家電専門量販店が誕生し, 品揃えと低価格販売により市場シェアを拡大させた。一方で日米構造協議を契機に業界の取引制度改善が要請されて, 流通系列化政策は見直しを迫られる。バブル崩壊後, 新興大型専門店が出現し中小規模の系列店シェアは縮小し, メーカーは消費者重視の視点から流通業者との間で新しい取引関係の構築が求められる時代になっている。