著者
斎藤 英治
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.378, pp.39-54, 2004-01

1937年から38年にかけて、ハリウッドの最大手スタジオだったMGMは『三人の戦友』(Three Comrades)なるタイトルの小説の映画化に乗り出す。製作の指揮をとったのは当時のプロデューサーで、後に監督・脚本家として『三人の妻への手紙』(1949)『イヴの総て』(1950)などで名を馳せることになるジョゼフ・L・マンキーウィッツ。監督はかつて『第七天国』(1927)というサイレントの名作を撮っているフランク・ボザージ。ドイツ人作家エリッヒ・マリア・レマルクの小説の脚色という仕事は、作家のF・スコット・フィッツジェラルドに委ねられた。フィッツジェラルドは、生涯に三度にわたってハリウッドに滞在して脚色の仕事に関わった経験をもっているが-一度目は1927年、二度目は1931年で、それぞれ二ヶ月ほどの短期間のものだった。