著者
新 祐治
出版者
日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.2491-2495, 1965

低圧法ポリエチレンとアイソタクチックポリプロピレンとの混合物について,主としてポリエチレンの融点以上におけるポリプロピレンの結晶化速度をデイラトメトリーによって観測した。重合体混合物中のポリエチレンの比率が増すと共に,ポリプロピレン結晶化の誘導時間は増大し,結晶化速度は低下する。結晶化のハーフタイムの逆数で表わした結晶化速度の相対比は組成(PP/PE)100/0,80/20,60/40および40/60において,それぞれおよそ100,70,65および50となった。しかし,Avramiの係数は130℃ 以上ではいずれの場合もほぼ同じであり,結晶化の機構はポリエチレンが存在するかどうかによらず変化しないと考えられる。また,結晶化終了後のポリプロピレンの結晶化度は組成によらずほぼ同一であった。これらの結果から,ポリエチレンとポリプロピレンとは溶融状態ではある程度相溶性があるが,結晶化の過程で完全な相分離をおこすものと考えられる。