- 著者
-
平原 尚武
園 順一
松坂 治男
新井 愛一郎
- 出版者
- 日本ロービジョン学会
- 雑誌
- 日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集 第7回日本ロービジョン学会学術総会・第15回視覚障害リハビリテーション研究発表大会合同会議 プログラム・抄録集
- 巻号頁・発行日
- pp.90, 2006 (Released:2007-05-09)
【目的】
視覚障害者を対象にした、パソコン指導方法について、電話による遠隔講座の可能性を探る
【対象と方法】
視覚障害者でパソコンに興味は持っているが、近くに教えてくれる場所がない、または、一人で出かけるのは困難な方達を対象に実証実験を行った。
IP phone など、通信コストの安価な手段を利用し、実運営でも実現性のある手段を利用した。
使用パソコンは原則として、主催者で準備したものを使用したが、パソコン保有者の場合は希望により、個人のものを使用した。
スクリーンリーダとしては95READERを、文字入力練習にはメモ帳または、ワードパッドを使用し、メーラーとして、MMメールを使用した。
今回の指導目標はメールの送受信が自由に行えるようになる事とした。
時間は、合計20回、30時間で学べることをを目標とした。
【結果】
1度に、5人に対して指導を行い、これを4回開催した。
講師は11人、そのうち視覚障害者が8人であり、視覚障害者の社会活動への参加という意味においても、意味のある講座形態であると言える。
受講生は19名であった。
始める前は、windowsの起動や終了方法も知らないものが、全員がメールの送受信ができるようになった。
また、この講座を受けたことにより、パソコンを6名が購入した。
購入はしていたが、操作方法が分からなくて困っている人も何名かいた。
【結論】
スクリーンリーダを使用することにより、受講生の操作が電話を通じて手に取るように分かる。
また、マウスカーソルのように位置が固定しない装置を使用する必要がなく、絶対位置のはっきりとしたキーボードのみの操作方法なので、
受講生の画面が見えなくても充分に指導できることが確認できた。
問題点としては、何らかの理由により、スクリーンリーダが音声を発声しなくなった時の対応方法である。
今回は実証実験と云うことで、家族、または、近くに晴眼者がおられて、いざと云う時には画面の状態を説明してもらえる事が可能な人を受講生とした。
今後のテーマとして、リモートメンテナンス方法について調査を始める。
以上