著者
新倉 勇 渡辺 健一 畑 一夫
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.923-924, 1959

芳香族ニトリルの水素化におよぼす置換基の影響の一つとして, p-メトキシベンゾニトリルの水素化反応を行ない,その結果を前に報告したオルト化合物の場合と比較検討した。p-メトキシベンゾニトリルは 240°~300℃ で水素化すると主として p-クレシルメチルエーテルを生成し,このほかつねに少量のトレエン,アミン,フェノール類などが得られる。反応温度が高くなると副反応が多くなり,アニソールの生成がいちじるしくなる。これらの反応結果はオルト化合物の場合と似ていて,メトキシル基自身が水素化されて変化するためにニトリル基の水素化能率は幾分低下することを示している。