著者
新庄 勉
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.89-98, 2019-03-15 (Released:2020-04-22)
参考文献数
23

小売市場は地域住民の食料品の購入先として日常生活に欠かせない商業施設であったが,流通業近代化や 1990 年代の規制緩和などによって,新たな商業施設の立地や新たな小売業態の誕生に対応できずに,小売市場の零細小売業者の多くは廃業することになった.その結果,小売市場内に多くの空き店舗が発生し,小売市場は衰退した.小売市場内の空き店舗は長期間使用されなくなり,老朽化して危険な状態になっている.小売市場の店舗は棟続きで建てられているために,市場通路は薄暗く,老朽化した小売市場では通路の天井に穴が空くなど,防犯・防災上も危険な状態となっている.研究対象とした尼崎市の小売市場では,これまで火災が発生すれば全焼し,近隣住宅にも延焼していた.