著者
日本チバガイギー株式会社アグロテック事業部開発
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.709-712, 1991-11-20 (Released:2010-08-05)

フェノキシカルブの安全性評価のために, 原体および製剤 (25%水和剤) を用いた各種の毒性試験を実施した. その結果, 本剤は急性毒性がきわめて低いほか, 皮膚および眼に対する刺激性もほとんどなく, また皮膚感作性も認められなかった. 亜急性および慢性毒性/発癌性試験では, 体重増加抑制や肝臓重量の増加などが認められ, また, 一部試験で肝臓の病理組織学的変化が認められたが, 発癌性は認められなかった. 繁殖毒性および催奇形性も認められなかった. 細胞毒性を示す濃度においても変異原性は認められなかった.フェノキシカルブを25%含有するインセガー水和剤は, 農林水産省により1990年11月7日に農薬登録され, また, 本剤の登録保留基準値は, 果実2ppm, かんきつ果皮20ppm, 茶1ppmと設定されている。本剤は定められた使用基準を遵守することにより, 安全性を確保できる農薬であり, 農業資材の一つとして有用であると考えられる.