著者
ルーター ホルスト 日本地熱学会国際交流委員会
出版者
日本地熱学会
雑誌
日本地熱学会誌 (ISSN:03886735)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.45-47, 2013-01-25
参考文献数
1

地熱資源を使うことは,ドイツの長期的な再生可能エネルギー利用の一部であり,それには地熱発電と,主として浅部での地中熱ヒートポンプを利用した暖房(および冷房)が含まれる。すべての原子力発電所を廃止するという政府の決定以降,あらゆる再生可能エネルギーの利用が加速している。決定からの期間がまだ短いため実際のマスタープランは無いが,原子力発電の置き換えに関するシナリオが数多くある。エネルギー生産のほかに,輸送(新しい送電線)および貯蔵が主要な問題である。<br>ほとんどのシナリオでは,地熱は小さな役割しか果たしておらず,全く抜けている場合さえある。しかし,電力供給網を安定させるベースロードとなるものが必要であること, 輸送と貯蔵の需要を減らす必要があることを理解すべきである。<br>暖房・冷房の市場では,地熱の導入(ほとんどが浅い地中熱)が普及しており,成長率が高い。近い将来,地熱供給は,太陽熱・マイクロ熱-電力に並び,主要なエネルギー源となるであろう。
著者
ロバト エンリケ リマ 日本地熱学会国際交流委員会
出版者
THE GEOTHERMAL RESEARCH SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本地熱学会誌 (ISSN:03886735)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.41-44, 2013-01-25
参考文献数
4

総合的な地熱コンサルタントの視点からは,市場規模のみならず市場安定性を維持し改善するためにも,実行可能な地熱開発戦略が必要である。そういった戦略は,先端技術に基づくアドバイスおよびその市場の状況についての詳細な知識を提供することによって,開発事業者や金融関係者の間に信頼感を生じさせ,管理可能なリスクのレベルで地熱資源を開発するように導くことを目指したものでなければならない。リスクは,開発に至るまでの過程でいくつかの形態で現れるものだが,リードタイムの無用な長期化を避けるために,必要なタイミングで適切に扱われるべきである。地熱エネルギーは国が所有する資源であるが,その開発が公共で行われるべきか民間で行われるべきかに関しては,常に公共と民間とのシナジーが必要である。我々の経験によれば,当事者間の相互理解を深めると共に,お互いの役割を認識すべく障壁を特定することを目的とした戦略により,地熱資源開発をスムーズに成功に導くことができ,その結果として強固で安定した市場環境がもたらされる。