著者
日本集中治療医学会倫理委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.210-215, 2017-03-01 (Released:2017-03-16)
被引用文献数
1 2

Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)の概念形成から約半世紀を経たが,いまだにその誤解と誤用が大きな問題になっている。日本集中治療医学会倫理委員会は,世界と本邦におけるDNAR指示の歴史と経緯を学び,その考え方を理解・把握して日本集中治療医学会会員諸氏に正しく伝えることを企画した。DNARは心停止時に心肺蘇生を行わない指示であり,ICU入室を含めて酸素投与,栄養・輸液,鎮痛・鎮静薬,抗不整脈薬,昇圧薬,人工呼吸器,血液浄化法など,通常の医療・看護内容に影響を与えてはいけない。倫理委員会は,本報告に基づきDNAR指示が正しい対象に正しい方法で運用されることを期待する。
著者
日本集中治療医学会倫理委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.216-226, 2017-03-01 (Released:2017-03-16)
被引用文献数
1

生命維持治療に関する医師による指示書(Physician Orders for Life-sustaining Treatment, POLST)は,事前指示の長い実践経験の延長上に米国で提唱された概念であり,指示内容に心停止時に心肺蘇生をしないDo Not Attempt Resuscitation(DNAR)を包含している。日本集中治療医学会倫理委員会は,DNAR指示の誤解と誤用が多い本邦においてPOLSTに基づくDNAR指示が可能かについて検討を加えた。POLST運用基盤は本邦では脆弱であり,急性期医療領域で合意形成がないPOLSTを検証なく導入し運用することに危惧がある。DNAR指示の正しい理解と運用が先決案件であり,現時点でPOLST(DNAR指示を含む)の使用は推奨できないと結論した。