著者
日本集中治療医学会危機管理委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.191-201, 2023-05-01 (Released:2023-05-01)
参考文献数
4

多発する自然災害や新型コロナウイルス感染症の流行により,多数の重症患者が同時に発生する危険性が高まっている。日本集中治療医学会の危機管理委員会は,ICUの災害対応の指針とするべく「災害時の集中治療室 日頃の準備から発災後まで─ICU対応ガイダンス」を2020年に発刊した。しかし,本邦のICUでの災害準備体制や,実際の多数患者発生時の対応状況は明らかでない。今回我々は,本邦のICUでの災害に対する準備状況や,東京オリンピック・パラリンピック期間中の新型コロナウイルス感染症による多数患者発生時に全国のICU が行った対応を調査するために,アンケート調査を行った。その結果,災害準備としての,段階的なサージ・キャパシティの設定,ICU拡張や複数ICUの統合運用の計画,災害時のICU 入退室基準の設定,ICU以外の職員の応援体制の確立など,多くの項目で不十分である現状が明らかになった。さらに,多数患者発生時の,ICU拡張や統合運用,入退室基準の変更などの施行率は低く,柔軟な対応の難しさと,事前準備の重要性が改めて示唆された。
著者
日本集中治療医学会危機管理委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.119-125, 2011-01-01 (Released:2011-07-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1 2

各施設の集中治療室における災害に対する対応について,調査を行った(2009年8月時点)。その結果,以下の点が明らかとなった。(1)停電,水,ガスなどのライフラインの備えは,多くの施設で取られている。(2)地震などに備えた医療機器の固定設置,蘇生用具の準備もなされている。(3)災害時の指揮命令系統は,ほとんどの施設でマニュアル化されている。しかし,周知徹底されているかは不明である。(4)ICUに特化したマニュアルを作成している施設は少なく,また,災害訓練を行っている施設は半分に満たない。(5)インフルエンザ・パンデミックなどの危機的感染症に対しては,今後,対策を練るべく議論する必要があると思われた。