著者
日本集中治療医学会PICS対策・生活の質改善検討委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.165-176, 2022-03-01 (Released:2022-03-15)
参考文献数
12
被引用文献数
2

【目的】Post-intensive care syndrome(PICS)対策としてのICU退室後のフォローアップに関する実態を明らかにする。【方法】2021年5月7~31日に日本集中治療医学会会員が勤務するICUを対象とし,インターネット上での調査を実施した。【結果】110ユニットのICU のうち,75.5%でPICSという用語や疾患概念が周知・使用され,89.1%で早期リハビリテーションが実施されていたが,55.5%でPICSに関する評価が実施されていなかった。ICU退室先の部署への訪問,PICS外来,退院後の医療機関などへの病院からのPICSに関する情報提供の実施率は,それぞれ32.7%,3.6%,19.1%であった。これらの実施の主な障壁として,マンパワーやPICSに関する知識,組織の理解,診療報酬があった。【結論】ICU退室後のフォローアップの実施率の低さが明らかになった。実施の推進のためには,ICUはもとより,あらゆる医療機能へのPICSに関する啓発強化,エビデンス蓄積の上,診療報酬の評価などを通した医療資源の確保が必要である。