著者
岡村 吉隆 下井 亜希 藤田 和代 日沼 州司
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.27-33, 2018 (Released:2018-05-12)
参考文献数
16

【目的】本研究は新調理システムの加熱工程において,V.Cの変化が従来の調理法と比較すると,どの程度であるかを明らかにすることを目的とした。【方法】試料はいも及び野菜類7食品とした。フードプロセッサーで粉砕後,分取し水さらし及び冷凍,加熱によるV.Cを測定し残存率を求めた。加熱方法は蒸しと水煮とした。水煮は煮汁も含めて測定した。分析は2,4—ジニトロフェニールヒドラジン誘導体化法を用い,高速液体クロマトグラフで行った。【結果】生のV.C量を100とすると水さらしの残存率は全体で平均23.7±6.0%であった。生を一週間冷凍保存すると残存率の平均は94.7±3.5%であった。蒸し加熱の工程ごとの平均残存率は,加熱69.7±17.8%,加熱後冷凍62.9±15.8%,再加熱53.7±18.0%であった。水煮の平均残存率は加熱56.7±17.7%,加熱後冷凍52.2±17.2%,再加熱45.7±20.8%であった。スライスしたさつまいもは蒸し加熱99.9±1.6%,水煮加熱は84.5±1.8%であった。【結論】フードプロセッサーを用いて粉砕すると,水さらしの残存率は加熱より低かった。生の冷凍は損失が少なかった。加熱と再加熱では再加熱の損失は少なかったものの,新調理システムの加熱工程は,従来の調理法と比較するとV.Cの損失が大きかった。また,水煮加熱は煮汁中のV.Cを含めても残存率は低いことが示唆された。