著者
日野原 啓子
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本年度は、昨年度に行った学会発表にて得られた示唆をもとにデータ収集方法及び概念の修正を行いながら、継続して縦断的・前向きなデータ収集を積み重ねた。しかしながら、自然死産・早期新生児死亡後の次子妊娠出産までの追跡には至らず、今後も継続してデータ収集を行う必要性が示唆された。自然死産・早期新生児死亡を経験した母親は、児の喪失後きわめて早期に次子の妊娠出産を痛切に願う時期が共通してみられていた。しかし、1〜3か月が経過すると次子妊娠出産への希望は一度小さくなる傾向があった。その後、その母親なりに亡くなった児の存在や、亡くした体験を成長へのステップとして意味づけ、亡くなった児との時間を過ごすことに満足ができると、改めて次子の妊娠を現実的に考えるに至っていた。そのような考えの変化が起こる時期として、亡くなった児の出産予定日が過ぎた頃、100か日を終えた頃、お盆を過ぎた頃などがあった。児の喪失直後の次子妊娠出産への希望は、亡くした子どもの代償として、あるいはとにかく子どもが欲しいと、次子を望む傾向が見られていた。しかし、数か月が経過してからの次子妊娠出産への希望は、喪失直後と異なり、自分や夫、(亡くなった児以外の生存している)他の子どもにとって、次子の誕生がどのような意味を持つのか、ライフサイクルの中でいう次子を持つことが家族全員とってよいのかを考慮した上で、「いつ頃次の子どもが欲しい」と考えるように変化していた。また、このような現実的な希望を抱くようになると、母親は自分の健康を維持するようなセルフケア行動をより積極的にとるような変化も見られた。基礎体温を測定する、体重コントロールを心がけるなど、できる限り次子の妊娠をよりよい健康状態で迎えることができるような行動であった。