著者
都丸 敬一 日高 醇
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.65-69, 1957

1954年にわが国で製造されていた紙巻6種,刻3種及びそれらの屑,葉巻1種及びパイプ2種の21の製造工場の製品について,TMVの含まれている状態を研究した。紙巻は実験した126例中123例(97%),刻は42例中36例(86%),屑はそれぞれ124例(98%)及び41例(98%),葉巻は3例中3例,パイプの日光は3例中3例TMVが検出された。桃山は3例中にいずれも検出されなかつたが,そのうちの焦がしてない黄色の成分からは検出された。N. glutinosaを用いたlocal lesion法による結果では,紙巻と刻,及び各々とその屑の間の濃度の差には,一定の傾向は認められなかつた。ゴールデンバット新生及び光の3例の濃度は同一重量の罹病生葉に含まれる量の5×10-4~10-4であつた。罹病生葉の汁液は10-6まで病原性をもつから,伝染原としてはかなりの濃度であろう。電子顕微鏡による観察では,製品たばこから抽出して精製したTMVの長さの分布は,紙巻を接種したタバコ及びTMVの普通系を接種したタバコからとつたTMVとほぼ同様であつたが,前2者には短い粒子の多い傾向があつた。